オリックスがマリナーズ・イチロー外野手(38)の「13年復帰計画」を進めていることが3日、分かった。今季が5年契約の最終年で、古巣が動向に注目。選手としてはもちろん、将来的な監督、ゼネラルマネジャー(GM)など要職での招聘(しょうへい)も視野に入れている。日本復帰を選んだ場合は、受け皿として地位を固めて、いの一番に獲得に動きそうだ。

 イチローの「13年問題」にオリックスが速攻をかける可能性が出てきた。西名球団社長が注目発言。現時点では「マリナーズの選手」とタンパリングにならないよう慎重な姿勢を示しながら、日本復帰を選択した場合について「あそこまで極めた選手。現場なら選手というより監督。ただ指導者の枠で収まらないのかもしれない。経営的な部分、球団代表というよりはGMとかになってくる」と語った。27カ国で事業展開する親会社で取締役兼執行役副会長などを兼務。グループ内に大きな力を持つ人物から興味深い構想が判明した。

 イチローは今季でマ軍との5年契約が終了。昨年末には米大手サイトのヤフースポーツで12年オフのFA選手特集に取りざたされ、早くも新たな契約を結ぶのか関心は高まっている。オリックスはメジャー最優先の事情を理解しつつ、12年オフだけでなく将来的な「有事」へ準備を進める。西名社長は「我々としては大きく考えている」と話し、選手とコーチ、監督、はたまたGM職とあらゆるポストで対応する構えでいる。現場希望の場合に備え、背番号51は準永久欠番となっている。

 オリックスは00年にポスティング制度で米球界移籍を容認後も、特別な関係にある。毎年帰国した際に宮内オーナーと極秘会談を持ち、パイプは継続している。オフの自主トレではほっともっと神戸を優先的に提供。昨年9月はオリックスグループの広告起用で一足早く“古巣復帰”を果たしている。

 64年に大阪市北区で創業したオリックスは14年が50周年の節目。96年以来のリーグ優勝を見据え、今オフは韓国で3冠王2度の李大浩(イ・デホ)内野手らを補強した。キャッチフレーズは「新・黄金時代へ」。イチローを迎え入れる土壌を着実につくっている。

 ◆イチロー契約メモ

 マ軍に入団した01年から3年1400万ドル(約10億5000万円)の契約を結んだ後、04年から4年4400万ドル(約33億円)で契約延長。現在の契約は08年から5年9000万ドル(約67億5000万円)で、今季が契約最終年となる。ただし年俸のうち500万ドル(約3億7500万円)を5・5%の利息付きで後払いにする契約となっているため、現役引退後、球団が23年まで年俸を払い続ける。来季以降の契約延長交渉については地元シアトルでは一切報じられていないが、水面下で行われている可能性もある。球団公式サイトのマ軍番記者グレッグ・ジョンズ氏は昨季終了後に「イチロー自身が契約延長を望むかどうかが一番の決め手になるのでは」と予想している。