ドジャースからFA(フリーエージェント)となって、ヤンキースと合意した黒田博樹投手(36)が、ヤ軍が提示した2年契約を断り、自ら1年契約を希望していたことが14日(日本時間15日)分かった。昨年12月初旬、ヤ軍側が最初に出したオファーは2年契約の推定2200万ドル(約16億5000万円)。それでも、黒田はあえて1年契約で勝負する厳しい道を選んだ。

 1年契約は、黒田自身の意思によるものだった。当初、ヤ軍側の提示は2年契約だった。通常、ベテラン選手にとって年俸が保証される複数年契約は、最もこだわる項目。ところが、黒田は自ら2年契約を断り、単年を選択。新天地で、しかも全米中からシビアな視線を集めるニューヨークで1年勝負に徹する意思を貫いた。

 昨オフ、ドジャースと再契約した際も、自ら1年契約を結んだ。今回のヤ軍の場合も同様で、最大の目標でもあるチャンピオンリングをつかむために、収入を安定させてまで2年の歳月を要するつもりはない。来オフ、古巣広島復帰の可能性も残す一方で、今季の全日程を終えた時点で再び「白紙」の状態から判断しようとする黒田らしい姿勢だった。

 そんな黒田の心意気にヤ軍側も応え、1年、1600万ドル(約12億円)の好条件に修正。前日までに大筋で合意した。既にこの日までに、ヤ軍ブライアン・キャッシュマンGM(44)が黒田の自宅があるロサンゼルス入り。代理人のスティーブ・ヒラード氏をはじめ、黒田本人とも最終的な詰めの直接交渉を行ったものとみられる。今季、黒田が一定の成績を残せば、13年も契約延長のオファーを出す予定のヤ軍にとっても1年契約に異論はなかった。

 ヤ軍入り後は家族をロサンゼルスに残し、単身赴任となる黒田はニューヨークの新居探しにも着手。今後は交渉が決着次第、週明けにもニューヨークで正式発表される見込みだ。