【サプライズ(米アリゾナ州)8日(日本時間9日)=高山通史】レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が「言葉の壁」に直面した。前日7日(同8日)のオープン戦初登板のパドレス戦で、バックスクリーン直撃の二塁打を浴び、「そんなに捉えられたという感じはしなかった」と発言したことに、当事者のウィル・ベナブル外野手(29)や米メディアなどが敏感に反応。一部で敬意に欠けているなどと指摘され、ダルビッシュはツイッターで釈明し、レ軍ワシントン監督が擁護するなど思わぬ騒動に発展した。

 日米の野球観や、微妙な言葉のニュアンスの違いなのか。ダルビッシュの“緊急釈明”に、そのギャップが浮き彫りになった。オープン戦初登板から一夜明け、練習終了後の米国時間午後7時すぎに自身のツイッターで、異例の「メッセージ」をつづった。

 ダルビッシュ

 昨日フェンス直撃を打ったベナブル選手への「球は捉えられてない」ってコメントがアメリカで違う捉われ方をしてるので言っときます。「球は捉えられてないと思ったけど思ったより飛んだ。パワーありますね。」という意味です。本人も嫌な思いをしていたら嫌なので、誰か伝えて貰えると嬉しいです。(原文まま)

 会心のデビューが想定外の波紋を呼んだ。7日のパドレスとのオープン戦初登板で2回を3奪三振、無失点。クローズアップされたのは2回の先頭打者ベナブルとの対戦後の感想だった。中堅フェンス直撃の特大二塁打を喫した。球場ルールで本塁打ではなく事なきを得たが、試合後のコメントが異国の世論を刺激してしまった。

 その発言は「乾燥もあるし、風もあるので、普通よりは伸びているかなとは思いますけど、そんなに捉えられたという感じはしなかった」だった。ニュアンスは捉えられた感じはしなかったが、日本とは違って力で運ばれた、という相手打者をたたえる趣旨。だが、受け止められ方は逆だった。ベナブルも「彼の本心じゃないと思うよ」と皮肉っぽく指摘。米メディアは相手を尊重せず潔くない姿勢と、マイナスの論調が大勢を占めた。

 記者会見の質疑応答時に目を合わさないなど、ややズレた批判にまで発展。報道陣の追及にあったワシントン監督は「ユウ(ダルビッシュ)はユウであればいい。言いたいことを言い続ければいい」と擁護したが、証明した実力以外でも注目されてしまった。日本球界の中でも律義で知られたダルビッシュ。思わぬ形で気勢をそがれて今後、意図せぬ第一印象の一掃に力を注ぐ必要に迫られてきた。