<ブルージェイズ4-9ヤンキース>◇19日(日本時間20日)◇ロジャーズセンター

 ヤンキースのイチロー外野手(39)が“ムネリン旋風”に目を丸くした。昨季マリナーズで同僚だったブルージェイズ川崎宗則内野手(31)と、敵味方に分かれて再会。試合に快勝し自身も今季2度目のマルチ安打で貫禄を示したが、存在感では後輩に圧倒された。

 イチローも信じられなかった。1週間前に昇格したばかりの川崎が打席に入ると、約4万人の地元観衆から大きな歓声と拍手が湧き起こる風景は、主砲バティスタや誰よりも盛り上がるものだった。

 イチロー

 ジーターがニューヨークに帰ってきたくらいの歓声ですよ。(ファンに受け入れられているのは)どうみたってそうでしょう。将棋ファンが見たって分かりますよ。

 試合前練習ではフィールドに出るとすぐに川崎を探し、駆け寄って抱擁を交わした。3分ほどの立ち話だったが、じゃれ合うように川崎のズボンの裾をまくり上げた。ただ試合に入れば同地区ライバル同士。イチローは両翼線に2本の二塁打を打ち分けて勝利に貢献。一方、3打数無安打に終わった試合後の川崎は「悔しいです」と表情は険しく、イチローとの再会にも「それどころじゃないですね」と無念さをにじませた。

 ただ川崎の加入は、戦力以上の効果をチームに与えている。ギボンズ監督は「ベンチで踊る男だとは聞いていたが、こんなに面白いヤツだとは思わなかった。みんな気に入っているよ」とムードメーカーに目を細める。そんな後輩にイチローは「少ないチャンスでそういう印象を抱かせる。そりゃもう大変なことです。気持ちいいよね」と自分のことのように喜んだ。【水次祥子】