<レンジャーズ4-2ヤンキース>◇28日(日本時間29日)◇グローブライフパーク

 【アーリントン(米テキサス州)=四竈衛】「ゴッつい」と表現したヤンキース・イチロー外野手(40)を脱帽させた。レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)がヤンキース戦で7回2失点と力投し、今季10勝目を挙げた。メジャーデビューから3年連続2ケタ勝利は、日本選手では野茂英雄以来2人目の快挙となった。

 ダルビッシュは3回、声に出してほえた。ガードナーに先制ソロを浴び、なお2死二塁で3番マキャンを見逃し三振。「ピンチを切り抜けて勝利に近づいたかなと」。今季最後のヤ軍戦。むしろ焦点は、対イチローとの打席にあった。

 前回23日の登板は同じヤ軍相手に、5回途中降雨コールドで黒星。それでも、ヒントはつかんでいた。内角高めの速球に対し、イチローがやや開き気味にスイングした残像を逆利用した。「ちょっと嫌だったのかなと。今日も内角を狙ってくると踏まえてスライダー、カーブを使いました」。第1打席の初球は71マイル(約114キロ)のカーブから入り、第3打席の最後は最速95マイル(約153キロ)の速球。剛と柔をミックスした最高レベルの投球で無安打に封じた。

 前回まで打率3割6分8厘と打ち込んでいたイチローにとっても、後輩への見方は着実に変わった。「去年まではゴッつい感じはなかった。でも今年、ゴッつい感じがする。確実にメジャーの中でもベストの1人」。前回の97マイル(約156キロ)に続き、今回も最速球はイチロー相手。かつて野茂、松坂らと「名勝負」を繰り広げたイチローにとって、感情を込めて挑むダルビッシュの姿は、結果を抜きに、気持ち良かった。

 「そういうタイプではないと思っていた。ある世代から冷めた物の見方というか、先発は試合を作ることに集中するとか、誰かとの対戦を…というのがなくなるというか。ダルはどっちなのかと思っていたが、考え方がオールドスクール(古風の意味)。そういう価値観を持ってる感じがする。そこはうれしいよね」

 単に白星を求めるだけでなく、超一流にしか分からない空間で最高の技術を競い合うことこそ、メジャーの魅力。イチローの言葉は、3年連続2ケタ勝利を挙げたダルビッシュに対する、最上級の賛辞だった。

 ▼ダルビッシュが3年連続2ケタ勝利。日本人投手が3年以上連続で2ケタ勝利をマークしたのは95~97、01~03年の野茂、10~13年の黒田に次いで3人目。渡米1年目からの3年連続は野茂以来2人目となった。日本ハム時代の06年からは日米通算9年連続で10勝以上を挙げている。