<カブス2-0ジャイアンツ>◇19日(日本時間20日)◇リグリーフィールド

 カブス和田毅投手(33)が思わぬ形でメジャー初完封をマークした。シカゴでジャイアンツ戦に先発。2-0の5回表まで6安打無失点と抑えたところで激しい雨に襲われ、4時間34分もの中断後、降雨コールドに。今季3勝目(1敗)を挙げ、7月28日のロッキーズ戦から自身3連勝とした。

 長い長い中断の末、和田がメジャー初完封を手にした。2点リードの5回表2死二塁、ジャイアンツの3番ポージーを迎えた時だった。カウント2ボールとした直後、激しい雨がグラウンドをたたきつけた。2球でなんとか遊飛に打ち取ったところで、試合中断。懸命な整備で再開を探ったが、4時間34分後、コールドゲームが成立した。

 二塁打を3本浴びるなど、毎回走者を背負いながら要所を締めた。この日の最速は90マイル(約145キロ)と決して速くない。だが2回先頭の5番モースを89マイル(約143キロ)の真っすぐで空振り三振に切るなど、キレが復活。2死後に二、三塁のピンチを招いたが、元阪神ボーグルソンに膝元へ食い込むスライダーを振らせた。全79球中、56球がストライク。制球が安定していたからこそ、1時間35分で5回の試合成立までゲームが進行したと言える。

 高低を使い、同じコースに違う変化球を投げ込むなど工夫を凝らした配球で自身3連勝だ。「自分は後がない立場」と常に危機感を持ち、5回無失点の力投を演じた。バットでも借りを返した。2回に投前に送りバントを決め、好機を拡大。8日のレイズ戦でバントを失敗してから「もっと練習しなければ」と、ひそかに努力してきた結果が実った。打席での好リズムも粘投につながったようだ。

 試合終了が告げられた時には、プレーボールから6時間以上がたった現地時間の深夜1時を過ぎていた。球団が選手の疲労を考慮し、記者会見は開かれなかった。和田から喜びの一声を聞くことはできなかったが、自信を深めるマウンドになったに違いない。

 ▼和田が大リーグ初完封。日本人投手の完封は通算9人目(23度目)で、松坂や岩隈より先にマークした。デビュー7試合目は田中(ヤンキース)の8試合目を抜く日本人最速。33歳5カ月の初完封は08年黒田(ドジャース)の33歳3カ月を上回り、初完封の年齢では日本人最年長となった。