【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)15日(日本時間16日)=四竈衛】右肘痛で故障者リスト(DL)入りしているヤンキース田中将大投手(25)が、21日(日本時間22日)のブルージェイズ戦(ホーム)でメジャーに復帰することが確実となった。同州タンパのキャンプ施設で試合形式の練習に先発し、5回、65球を投げ、6安打無失点4奪三振。最速148キロに加え、無四球と制球も安定したこともあり、メジャー復帰が「内定」した。

 最終回だけ、田中は本気になった。審判もついた試合形式の練習だが、マイナー選手を相手に田中だけが投げる「試合」。イニング間に数分間の休憩を挟む変則形式でもあり、集中力を維持するのは簡単ではなかった。だからこそ、最後の5回だけは意図的にギアを上げた。

 最速92マイル(約148キロ)をマークした速球系を主体に勝負し、3者凡退。「最後は強度を上げてみようと思って、ちょっと力んで投げてみました。試合になれば、力まなくてもスピードも上がると思います」。試合の中でメリハリをつける投球こそ田中の持ち味。ロスチャイルド投手コーチが「故障前にかなり近い投球だった」と評価する力強い球筋が、復帰へのゴーサインだった。

 無観客の試合ながらジラルディ監督のほか、故スタインブレナー氏の娘で副オーナーのジェニファー・スタインブレナー・スウェンデル氏も観戦した。序盤は、「力まないように」(田中)意識しながら、制球を重視した。スプリットの落差が足りず、6安打を浴びた一方、無四球だけでなく、3ボールもなし。「ストライクゾーンに行っていたという意味では良かったです」。ベンチから見守った同監督は「次は我々(メジャー)のために投げる可能性が高いだろう。彼も真剣勝負の試合で投げたいと思っているはずだ」と、合格の評価を下した。日時こそ明かさなかったものの、中5日で21日に登板するプランがほぼ固まった。

 田中自身の気持ちも、着実にメジャーの舞台へ向き始めた。「公式戦の場で投げないと、結局のところは分からない。でも、強度を上げて投げられているし、順調だと思います」。この日、ヤ軍は2試合連続でサヨナラ負けを喫し、地区優勝の望みは絶たれた。プレーオフ進出も厳しい状況だが、田中の復帰は久しぶりに明るいニュースとなりそうだ。