カブスからFA(フリーエージェント)となった藤川球児投手(34)が、レンジャーズと基本合意に達したことが12日(日本時間13日)、明らかになった。球団公式サイトなど複数の米メディアが伝えたもので、1年契約で2年目は球団が選択権を持つとみられる。週明けにもメディカルチェックを受け、異常がなければ正式に発表される見込みだ。

 藤川が、渡米3年目となる来季、再スタートの地として選んだのは、レンジャーズだった。交渉解禁後、獲得に興味を示すレッドソックス、エンゼルスなど複数球団と接触してきたが、この日までに決断。藤川だけでなく、ダルビッシュの代理人も務める団野村氏とレ軍の太いパイプもあり、交渉はスムーズに進み、基本合意に達した。来週明けにも予定されるメディカルチェックを無事にパスすれば、正式契約となる運びだ。

 今季、地区最下位に沈んだレ軍にとって、投手陣全体の再編は急務だった。特に、救援陣は若手が大半でもあり、ダニエルズGMは「経験のあるベテラン」をターゲットとして挙げていた。ケガの影響もあり、メジャー2年間で27試合登板にとどまった。しかし阪神時代に通算220セーブを挙げたほか、WBCなど国際舞台の経験が豊かな藤川は、レ軍にとって格好の人材だった。

 海外FA権を行使してメジャー移籍した13年。開幕戦で初セーブを挙げた直後、クローザーの座をつかんだものの、右肘痛で離脱した。その後、1度は復帰したが、昨年6月11日に靱帯(じんたい)修復手術を受け、長いリハビリ生活を余儀なくされた。今年8月6日、約1年3カ月ぶりにメジャー復帰した一方で、クローザーの座ではなく、不規則な起用が続いた。今季は15試合登板で防御率4・85、メジャー通算は27試合で1勝1敗2セーブ、防御率5・04。納得がいかない半面、「来年からはまた元気に投げられます」と、確かな手応えも感じていた。

 まずは中継ぎスタートとなる見込みだが、ダルビッシュとの直接リレーが実現することは確実。クローザーのフェリスが故障がちでもあり、結果を残し続ければ、9回を任される可能性も残されている。過去2年間は故障に泣かされたこともあり、バニスター新監督が指揮を執るレ軍で、日本屈指のリリーバーとしての底力を見せる。

 ◆レンジャーズ救援事情

 今季、開幕でクローザーを務めたソリアーが7月末にタイガースへ移籍。その後、26歳フェリスが約3年ぶりにクローザーへ復帰し、13セーブ。フェリスは12年8月に「トミー・ジョン手術」を受けており、今季は3Aスタート。盤石とはいえない。セットアッパーは、トーレソンと左腕コッツ。藤川が加入すれば、当面はフェリスにつなぐ3枚の一角になる見込み。