100点満点で合格! 阪神岩崎優投手(23)が、中日とのオープン戦に先発し、6回1安打無失点の快投で開幕ローテ入りを決めた。キレ味抜群の直球を主体に6イニングを最少の18人斬り。岩貞祐太投手(23)、ドラフト2位石崎剛投手(24)との「第6の男」争いに決着をつけ、開幕6戦目の4月2日ヤクルト戦(神宮)に向かう。

 130キロ台でも岩崎は速球派だった。最後も内角の131キロ直球だ。6回1死一塁、9番谷繁を詰まらせ、注文通りの三ゴロ併殺打に仕留めた。6回を1安打無失点。淡々とベンチに戻る姿に、ローテ投手としての風格が漂っていた。

 岩崎 指にかかる、コントロール、そういうところにこだわって投げました。

 開幕ローテ6番手をかけた最終テストに満点回答だ。右足を大きく踏み込み、もっとも打者に近いポイントでボールを離す。スピードガンより速く感じる自慢の直球が効いた。全81球の約67%にあたる54球に直球を選択。この日の最速は138キロながら18アウトのうち16アウトを直球で奪った。内野ゴロ9個、5奪三振で1四球。キレ味抜群の直球がスライダー、2種類のチェンジアップ、カーブ、フォークも生かした。

 岩崎 前回はストレートの質があまり良くなかったので、そこにこだわって投げました。だいぶいい状態にあると思います。

 5回1失点だった11日広島戦では和田監督から「キレの物足りなさ」を指摘された。「フォームがバラバラだったのは自分でも分かっていた」。キャッチボール、ブルペン投球で難なく修正してのゼロ封だ。登板前には配球について梅野と綿密な計画を立てたという。「直球も変化球もベース板を広く、ストライクゾーンを広く使おう」。プラン通り左右、高低、前後の空間すべてを使い、5回終了まで無安打投球を続けた。

 1年目の昨季はナゴヤドーム3試合登板で1勝2敗、防御率7・43。オープン戦とはいえ力強く鬼門を突破した。昨季5勝の実績もあり、開幕ローテ6番手争いを有利に進める中、勝負どころで非の打ちどころのない快投を披露。中西投手コーチは「“石”より“岩”の方が強いやろ。(岩田、岩本を含めて)“3枚岩や”」と表現。岩貞、ドラフト2位石崎との激しい争いに正式決着をつけた。

 左肩の不安で2軍キャンプスタートも、焦らず開幕に合わせる落ち着きが頼もしい。和田監督から「そういう気持ちでやっていると思う。それくらい勝ってくれれば、チームとしてはありがたい」と2桁勝利を期待される立場になった。4月2日ヤクルト戦に向かう先発6番手がこの安定感。15年も虎先発陣は岩のように強固だ。【佐井陽介】