右肘手術から再起を期すオリックス金子千尋投手(31)の開幕ローテ入りが24日、絶望となった。京セラドーム大阪で術後初の実戦形式を予定していたシート打撃登板を回避。キャッチボールも塁間で5球程度にとどまるなど、肘の状態が万全ではないようだ。開幕の西武3連戦(プリンスドーム)は同行する見込みだが登板予定は白紙。悲願のリーグVへ、森脇丸がエース不在で航海に出る。

 いるべきはずのマウンドに金子の姿はなかった。予定されていた京セラドーム大阪でのシート打撃登板。西1人が投げただけで、グラウンドの後片付けが始まった。「準備がゲームで投げるまでに至っていない」。厳しい表情の高山投手コーチが、開幕ローテが絶望となった現実を明かした。

 昨年11月29日に右肘遊離軟骨の除去手術を受けて以来、実戦登板は0。この日が初の打者相手の登板で、状態が良好なら開幕2カード目ソフトバンク戦か、3カード目日本ハム戦での初先発が考えられた。だがこれでぶっつけ本番プランも白紙。開幕西武3連戦に同行する荷物はトラックに運び入れたが、実戦の登板メドが立っていない状況だ。

 右肘に何らかの異変が発生したもよう。この日の練習でのキャッチボールは、塁間で5球程度。前日より距離も数も減った。高山コーチも「本人の感覚もありますからね。そこがクリアできれば…」と慎重に言葉を選んだ。深刻なのか、軽症なのか。それは言葉を発することなく帰路に就いた金子にしか分からない。

 練習前に訪れた大阪・住吉大社での必勝祈願では、絵馬に「優勝!」と並んで「投げる!」と書いて奉納した。投手が試合で投げるのは当たり前だが昨季の沢村賞右腕は今、当たり前のことができない。しかも「!」マークをつけるほど願いは切実なのかもしれない。

 開幕はディクソン、山崎福、バリントン、西、松葉、東明の6人で発進。エースが帰ってくるまでしのいで勝つしかない。【松井清員】