中日が今季初のサヨナラ勝ちで本拠地4連勝だ。3試合ぶりにスタメン復帰した荒木雅博内野手(37)が3安打1盗塁の活躍。延長10回にもアンダーソン・エルナンデス内野手(32)の劇的なサヨナラ打を演出する中前打を放った。開幕3連敗がウソのようなV字回復で貯金も1となった。

 二塁走者の荒木は打球の行方を見つめて右手を突き上げた。ホームを踏み、二塁ベース付近ででき上がった歓喜の輪へ加わる。エルナンデスのサヨナラ打で決着した今季3度目の延長戦。劇的な幕切れを演出したのは37歳のバットだった。

 重い雰囲気が漂っていた終盤、延長に突入して迎えた10回だ。先頭で打席に立った背番号2は冷静だった。「なんでもいいから出たかった。流れとしてやっぱり先頭が重要だし」。広島一岡の7球目。外角フォークを逆らわずにつかまえて中前へ落とした。続く3番平田の犠打で二進。ルナが敬遠され、福田は三振も最後は助っ人が左中間へ殊勲打を放った。

 開幕3連敗からの4連勝を決めた谷繁兼任監督は「しっかりと荒木が先頭で出てくれたから、こういう形になった」と、真っ先に荒木の名前を挙げた。1打席目には右前打を放ち、すぐさま盗塁成功。3回にも右前打で出塁し、足でプレッシャーをかけ、広島ジョンソンがたまらずボーク。足で、バットで初顔合わせの左腕にプレッシャーをかけた。

 3月27日阪神との開幕戦(京セラドーム大阪)で今季初安打も、それ以降は当たりがストップ。この試合が始まる前の打率は8分3厘だった。右投手が先発だった1、2日の巨人戦はベンチスタート。代わりに出場した新加入の亀沢が2試合で元気いっぱいにアピールし、心中は穏やかではなかったはずだ。

 結果が出ず声を荒らげたいときもある。だが感情は押し殺す。「野球選手である以上、そういう中でやっていかないといけない。同じユニホームを着てるんだからベテランも何もない」。試合後には左ふくらはぎにアイシングを施し、そう話した。「良くても悪くても明日は来る。一喜一憂はしない」。20度目の開幕を前に荒木が残した言葉だ。やはりこの男の存在は大きい。【桝井聡】