耐えて勝利を呼び込む。明日25日の阪神戦(マツダスタジアム)に先発予定の広島黒田博樹投手(40)が23日、マツダスタジアムで意気込みを口にした。投手練習ではキャッチボールやダッシュで調整。得点力不足にあえぐチーム状況も加味し、我慢の投球を誓った。相手は19歳年下の阪神藤浪だ。熟練の投球術と限界知らずの若さで、連敗を止める。

 耐雪梅花麗-。黒田の座右の銘である。チームはここまで計20試合で49得点と、リーグ最低の得点力に沈む。今、投手陣に必要なのは雪に耐えること。マツダスタジアムで調整した黒田は、はっきりと言った。日本でも米国でも、無援護の経験は長かった。冗談を交えながらも、言葉には力がこもっていた。

 「1年間戦えばこういう時期もある。我慢するしかない。なんとか1つずつ、チーム一丸となってやっていくしかない。(無援護も)経験してますよ(笑い)。自分でコントロールできることをやるしかない」

 対する阪神とは11日に甲子園で対戦。メッセンジャーと投げ合い、6回2失点で勝利投手となった。今回は21歳藤浪との対戦が確実。13年入団の若武者を「生で見たことはないですけど、もちろんいい投手であることは知っている」と言う。黒田は熟練の投球術と「(年齢は)考えないようにしている。限界をつくると苦しくなっていく」という限界知らずの若さで投げ込んでいく。

 好投手との投げ合いに加え打線が低調という事実。カギは先取点にある。チームはここまで挙げた7勝のうち、逆転勝利は1勝のみ。先取点は試合の行方を大きく左右すると言って過言はない。マウンド上でベストを尽くしチームに勝機を与えるのが黒田のスタイル。基本は変わらないが、先取点死守への意識は高い。

 「いい投手と投げ合うということは投手戦になるということ。先に点をやらないという気持ちにはなります」

 じっと耐えて、勝つチャンスを与える。「相手がどこでもやることは一緒」。そう言い残した黒田の背中は頼もしかった。明日、黒田はゆっくりとマウンドに向かう。白星という花が咲くと信じて。【池本泰尚】

 ◆耐雪梅花麗(雪に耐えて梅花うるわし) 西郷隆盛が詠んだ漢詩の一節。梅の花は寒い冬を耐え忍ぶことで、春になれば一番麗しく咲く、という意味。ヤンキース時代の12年3月には、大切な言葉を紹介するミーティングでチームメートに披露している。通訳されると、ジーターらから大きな拍手がわき起こった。また無料通信アプリLINE(ライン)の黒田博樹スタンプの一部にも使用されている。