巨人守備陣は適切な打球処理をした、つもりだった。広島小窪の飛球の落下点に、三塁手村田修一内野手(34)、一塁手ホアン・フランシスコ内野手(27)、捕手実松一成捕手(34)が向かった。大歓声に声がかき消されて人が重なり、村田が捕りに行ったが及ばなかった(記録は失策)。落ちたボールをフランシスコが拾って本塁ベースを踏んで三塁走者を封殺し、2死満塁となるはずだった。

 数秒後。「サヨナラ負け」を告げられた。二塁と三塁の塁審が「インフィールドフライ」を宣告していたが、巨人サイドには伝わっていなかった。だからこそ、巨人ナインは突然の敗戦通告にぼうぜんとした。原監督は審判団に抗議したが、判定は覆らなかった。ベンチ裏に引き揚げると「しっかり話をして言いたいことも言ったし、その中で結果的にこういう状態になったということです。それ以上、ここで言う必要はないですね」と、不運な敗戦を淡々と受け止めた。

 インフィールドフライと分かっていれば、こうはなっていなかった。村田は「(宣告は)歓声もあって聞こえなかった。インフィールドで落としたらタッチプレーだと知っています。一生のうち、1回あるかないかのプレー。何とも言いようがないです」と、複雑な表情を浮かべた。田口と大瀬良の好投で引き締まった試合が一転、珍しい幕切れに。思わぬ形で、巨人の連勝が3で止まった。【浜本卓也】

 ◆インフィールドフライ落球でサヨナラ 今回と同じく勘違いでサヨナラになったケースは91年6月5日大洋-広島戦がある。2-2の9回裏1死満塁、大洋清水が捕手前へフライを打ち上げインフィールドフライが宣告されたが、捕手達川が落球。慌ててボールを拾った達川は本塁ベースを踏み、併殺狙いで一塁送球。この間に三塁走者の山崎がホームを踏み、大洋がサヨナラ勝ち。記録は打者清水が捕飛となり、三塁走者の生還には達川の失策がついた。なお、この試合で緒方監督は9回表に代打で出場、サヨナラの場面は中堅を守っていた。