ゴールデンウイーク最終日にコイ党が歓喜した。広島が今季初の同一カード3連勝だ。天敵の巨人菅野攻略へ、田中広輔内野手(25)が突破口を開く2二塁打を含む猛打賞。巨人の守備の乱れも加わり、2年ぶりの巨人戦3連戦3連勝だ。トップバッターの上り調子に加え、クリーンアップもそろって打点を挙げる快勝。低調だった広島打線が、力強さを増してきた。

 初回から3万人を超えるコイ党のボルテージは最高潮に達した。試合開始10分での先制点から、3回までに4点を奪った。上位打線が出塁し、中軸がかえす。理想的な攻撃で、過去14試合で2勝8敗と苦手としていた菅野を序盤で攻略したのだから、ファンの歓喜もうなずける。

 突破口を開いたのは、菅野と東海大相模、東海大で同学年の1番田中だ。1回、甘い直球を捉え、右翼線への二塁打。無死一、三塁と好機は拡大し、三塁走者田中は丸の中堅への浅い飛球で本塁へ。先制犠飛に丸は「広輔がよく走ってくれました」と感謝する走塁。さらに、この日1軍復帰したばかりの松山も、復帰後初打席で適時二塁打と続いた。

 3回も再び田中が口火を切った。初球内角球をまたも右翼線への二塁打。試合前まで13打数1安打と苦手としていた盟友球打ち。活気づいた打線は、13年9月以来の巨人3連戦3連勝。今季初の同一カード3連勝だ。4月28日からの9連戦を5勝4敗で勝ち越し、緒方監督は「開幕から大量点の次の試合は得点が少なかった。開幕から同一カード3連勝がなかったので、この1勝はすごく大きい」と喜んだ。

 広島は開幕から1番打者を固定できず、得点力不足に陥った。緒方監督は開幕前「1番はチームの顔。コロコロ変えたくない。広輔が入るのが理想だと思っていたが、オープン戦から調子が上がってこなかった」と話していた。4月中旬から調子を上げた田中は同25日から1番に固定された。以降11試合6勝5敗とチーム状態も復調しつつある。この日は、田中と菊池の1、2番コンビがそろって猛打賞。丸、新井、松山の中軸3選手で全4打点をたたき出した。開幕前に指揮官が描いた理想型に近づきつつある打線が、つながり始めた。【前原淳】