史上初の「5割首位」の誕生だ。巨人がDeNAに逆転負けを喫し、最大9もあった貯金をすべて吐き出した。先発高木勇人投手(25)が6回2死から乱れて逆転を許し、プロ入り後最短の5回2/3、4失点KO。カード初戦の先発を初めて託されたが、期待に応えられなかった。勝率は5割に戻った巨人だが、2位阪神が引き分けたため首位のまま。首位から最下位まで2・5ゲーム差と、さらなる大混戦に突入した。

 DeNAの連敗を、高木勇が止めてしまった。2点リードの6回2死から、制球が乱れた。筒香に四球を与えると、安打を挟んでまた四球。満塁で倉本に同点打を浴びた。初めて託されたカード初戦で、プロ入り後最短の5回2/3、4失点でKO。「(筒香には)2点差だったので本塁打でもいいと思えたら良かった。無駄な四球と思う」と、自滅ともいえる逆転劇を悔いた。

 同じことを繰り返してしまった。この試合前まで7打数4安打の倉本に、同点打を含む2安打を浴びた。5月10日には8回に決勝打を浴び、プロ初黒星をつけられた。最も警戒すべき打者の1人だったが「特に意識はしませんでした」と自分の投球をするとの信念を貫いて挑んだ。結果、またもや直球を仕留められた。

 失点イニングも過去の繰り返しになった。今季は6回に最も多い計11失点。ゲーム中に完全には修正しきれていないのか、3巡目につかまる傾向が出ている。この日も「調子は良かった」と振り返ったが、変化球のコントロールは本来のものとは言えず、勝負どころで直球を射抜かれた。「自分らしい投球はできた」と言うものの、自身4戦勝ちなしの3連敗。「ファンとチームに申し訳ない。同じことを繰り返さないよう、状況を考えた投球ができるように、反省して次につなげたい」と顔を上げた。

 チームもリードを守れない展開を繰り返してしまった。打線は2回の2点のみと、投手が苦しい時に援護できずに2連敗。原辰徳監督(56)は「なかなか2点で勝つのは簡単じゃない。現実を直視して、失敗を恐れず、攻撃的なプレーに1人1人が徹するということ」と攻めの姿勢を求めた。70試合目にして勝率5割に逆戻りしたが、首位キープという極めて異例の事態に。これ以上、セ・リーグを混戦にするわけにはいかない。【浜本卓也】

 ▼セ・リーグは首位巨人が敗れて35勝35敗。リーグの全チームから貯金が消えた。これは60試合以上消化後では史上初。また、首位巨人から6位広島までは2・5ゲーム差。60試合以上消化して1~6位が3ゲーム差は73年9月1日にあったが、2・5ゲーム差は初めて。