愛するベビーよ見てくれたか! これが虎の4番を打つパパだ! 阪神マウロ・ゴメス内野手(30)が9回に意地の一打を放った。前日6日の次女誕生を祝うアーチこそかけられなかったが、無安打では終わらず、存在感を示した。

 「ありがとう。ベストを尽くすよ」

 試合前、報道陣から次女誕生を祝われ、祝砲を期待されたゴメスはこう答えた。それだけにこのままでは終われなかった。3点リードされた9回の先頭。ここまで3打数無安打。この世に生を受けた愛娘のためにも、結果を残したかった。虎の4番として、そして2児の父としてのプライドをたぎらせ、中日抑えの福谷に相対した。初球。真ん中に甘く入った直球を強振した。打球はするどく福谷の横を抜け、あっという間に中堅大島まで到達。後続が続かずゲームセットとなったが、土壇場大逆転さえも期待させる一打だった。

 5回終了後にはバックスクリーン奥、倉敷の夜空にきれいな花火が打ち上がった。今季はここまで11本塁打。昨年も倉敷で左翼席中段に飛び込む特大2ランを放ったゴメス花火にも期待は高まったが、この日はお預け。それでもリーグ戦再開後は13試合で打率3割9分1厘、安打のなかった試合はわずか1試合と好調をキープだ。

 「今日は今日。また明日からやっていけることをやっていきたいね」

 今日8日からは本拠地甲子園に戻っての中日戦。倉敷の地ではかなわなかったが、聖地に集ったファンの前で、今度こそ勝利に導く特大のアーチを描く。【梶本長之】