ヤクルトが4連勝で勝率を5割に戻し、阪神と並んで3日以来の首位に浮上した。原動力は後半戦から3番に座る山田哲人内野手(23)だ。3戦連続マルチ安打で、合計14打数9安打5打点と勢いが止まらない。夏バテ防止のため、行きつけの飲食店で特製「山田メニュー」を食べてコンディションを維持。スタミナ十分で熱~い「混セ」を勝ち抜くつもりだ。

 「3番山田」の背中が、日に日に大きくなっている。初回。右前打で出塁した比屋根に続き、1死一塁から右前打を放ち、先制のチャンスをお膳立てした。「1死一塁のケースでは三塁まで狙っていこうと(チーム内で)話しているのでよかった」と、狙い通りに1死一、三塁を演出。畠山の中前打で先制点を呼び込んだ。5回2死走者なしからは、右中間への二塁打。「うまく打てているのかなと思います」。昨季日本人右打者最多安打をマークした男は、前夜にリーグ最速の20号に到達。他球団からの警戒は一層厳しくなっているが、その上を行くマルチ安打だった。

 開幕を1番で迎え、前半戦最後の5試合は4番だった。だが、後半戦に入り、新たな定位置で輝きを増している。左内転筋の肉離れで戦列を離れていた畠山が復帰したことで、4番から3番に変わった。本人は「あまり意識していない」と言うが、真中監督は「山田が出れば、必然的に(4番)畠山と勝負しなくてはならない。長打も警戒しなくてはならない」と効果を口にする。

 好調を支えるのは“おやじ”の温かい食事だ。今年から1人暮らしを始め、食事は外食がほとんど。週に4日は通うという都内の飲食店の主人が、粋な計らいをしてくれている。夏バテ防止のため、夕食時に「山田特製メニュー」が提供される。肉や魚、さらにビタミンや食物繊維を補う野菜類を豊富に取り入れた日替わりのメニューだ。山田は「何も言わなくても毎日メニューを変えてくれるんです。最後にはオレンジとかキウイとかデザート。ありがたいですよ」と感謝する。夏場は苦手と話し、キャンプ中に79キロあった体重は現在は約3キロ減。ホーム球場は屋外。疲れた体を癒やす特製メニューで暑い夏を乗り切ろうとしている。

 天候以上に熱い混戦セ・リーグ。日々順位の入れ替わりが激しい中、ヤクルトが抜けだしそうな気配も漂ってきた。その中心に山田がどっしり座る。「どのチームにも優勝の可能性はあると思う。やっぱり優勝したい。これからもチャンスでしっかり打っていきたい」と決意を口にした。山田が引っ張るツバメ軍団の勢いはまだまだ止まらない。【栗田尚樹】