「貯金メーカー」藤浪が虎の首位の座を固める。阪神藤浪晋太郎投手(21)が今日24日、DeNA戦(甲子園)に先発する。投手史上最年少のMVPを獲得した球宴後の初登板には、勝率5割で首位に返り咲いたチームの貯金生活を後押しする心強い相性、データもそろう。藤浪の8勝目から、混戦セ・リーグを抜け出す。

 甲子園に垂れ込めた雨雲に反して、藤浪の表情は明るかった。キャッチボールの投球は、25日先発予定の岩崎も避けながら受ける球威を見せつけた。後半戦初登板は、好相性のDeNAが相手。再び貯金生活の足場を固める。

 「どこも波に乗り切れていない。せっかく前カードを勝ち越せたので、波に乗っていきたい」

 前日22日に天敵の巨人ポレダを打ち崩しチームは首位に返り咲いた。勝率5割ながら、ヤクルトと並んで成績表のトップに立つ。まだ続く混戦模様から抜け出すために、1つでも多くの貯金を蓄えたいところ。奪首直後の先発を任された藤浪は冷静に1勝をつかみにいく。

 「気にしないですね。気にしないとダメなのかもしれないですけど、まずは自分のピッチングをしたい」

 これまでの好相性が、追い風となる。DeNA戦は今季2戦2勝で防御率1・80。5日の横浜スタジアムでも8回1失点と快投した。「すごい、いいかと言われれば違いますが、この前はちょっと良かったなという感じ。悪いイメージは持ってないですね」と苦手意識はさらさらない。

 目立つのは4番筒香封じだ。「つながられたらやっかいな打線ですね。上位にいい左打者が多いので、そこをつなげないようにしたい」。首位打者の筒香はリーグ2位の62打点、同3位の15本塁打と紛れもないポイントゲッター。その若き4番に対して藤浪は今季打率1割6分7厘。強力打線のキモを抑えている。

 甲子園で先発した試合はチームが5連勝中と「申し子」ぶりは大阪桐蔭を卒業して3年目でも健在。さらにチームが勝率5割で迎えた一戦では2戦2勝と「貯金メーカー」の役割を果たす。ここまで7勝5敗、先発試合でチームは10勝6敗。藤浪が投げた後には貯金がついてくるのだ。

 17日のオールスター第1戦では、大阪桐蔭でバッテリーを組み甲子園春夏連覇を達成した1学年後輩・西武森と対戦した。東京ドーム天井を直撃する仰天の大飛球で一飛に封じ、盛り上げた。3回をパーフェクトに抑えて、投手史上最年少でMVPを獲得。自信をふくらませて臨む後半戦の初戦だ。21歳右腕がチームトップの8勝目で、虎の貯金箱をチャリンと鳴らす。【宮崎えり子】

 ▼阪神の貯金は3が最多。開幕3連勝を飾った3月29日など4度、貯金3としたが4以上にはなっていない。貯金があったのは開幕戦から4月6日まで(7日DeNA戦に敗れて勝率5割)、6月7~8日、10日、6月24日~7月1日、7月5~6日と5期間で23日間しかない。開幕直後をのぞき首位に立ったのは6月24日~7月1日の8日間と、7月4~6日の3日間。今回の首位はどこまで伸ばせるか。