「最下位脱出カード」は大野が先陣を切る。中日は今日24日からヤクルト3連戦(神宮)。自身3年連続の2桁勝利をかけて大野雄大投手(26)が初戦に先発する。5位広島とは2ゲーム差。順位変動は広島次第だが、大野はこの3連戦での5位浮上を目指すと明言した。勝負の夏場へ、左腕エースが勢いをつける。

 青々とした神宮軟式球場の芝生が夏の訪れを告げていた。雨にたたられた広島とは一変。蒸し暑い東京の青い空の下、中日ナインは約2時間汗を流した。明るい雰囲気の投手陣の中で、最も笑顔を見せていたのは、ほかならぬ今日24日に先発する大野だった。

 「このカードで脱出しましょう!」

 力強く言い切って練習を切り上げた。「脱出」とはもちろん最下位脱出。1カ月間にわたる単独6位生活だが、5位広島とは2ゲーム差。2連勝、2連敗で逆転できる。リーグトップ9勝を挙げる左腕は、自分の役割を分かっていた。

 「(自分の)後半戦のいいスタートを切りたい。勝ち星はしっかり投げていけばついてくるので気にしていません。この4カードは負け越しがないし、これ以上借金を増やしてはダメ。ゆっくりでも減らしていくことが大事。このカードも勝ち越さないといけない。そのためにはアタマを取ることが大事です」

 悔しい思いをした。前半戦最終戦だった15日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)。8回3失点で負け投手になった。チームの4連勝、自身の10勝がかかった前半戦の締めくくりで、ツバメにつかまった。「絶対に勝たないといけない試合だった。チーム、僕自身がもう1つ上のレベルにいくためにも」と悔やんだ。

 出場した球宴を含めて、その直後から9日目のロング遠征。それでも「全然問題ない。いつもの長期遠征と同じで、うまく過ごせた」とコンディション作りには余念がない。

 神宮では4月7日に1-0完封を達成し、今季初勝利を挙げている。ヤクルト戦は球団別最多の6試合目の登板で、全9勝のうち3勝を稼ぐ。「3、4番(山田、畠山)は時間をかけてでも抑えたい。よく打つヤクルトが戻ってきている感じがする」と慎重にプランを描く。スカッと3年連続2桁勝利を決めて、チームを波に乗せたい。【柏原誠】