阪神ランディ・メッセンジャー投手(33)が拳を握り締め、大きくほえた。3点リードの6回2死一、三塁。DeNA筒香の痛烈な打球を左翼マートンが倒れ込みながらグラブに収めた瞬間だった。今季3度目の中4日登板。訪れた試練をことごとく乗り越え7回無失点。7勝目を挙げ勝敗を五分に戻した。

 「結果的に点につながらなかったので。切り替えてできて良かったよ」。直前の2死二塁。自身でベースカバーに入った、梶谷の内野安打の判定に一塁塁審嶋田に詰めより怒りをあらわにしていた。初回には梶谷の打席でマウンドを気にして声を荒らげた。イライラ…。そのたびに深呼吸で自分を落ち着けた。冷静に投げ続けた97球。和田豊監督(52)も「そういうところでイライラしなくなったよね。自分の気持ちをコントロールして投げていた。100球をメドにいかせた。本当に中4日でしっかり投げてくれた」と称賛した。

 この日稼いだ三振は4つ。パウエル(ソフトバンク)に並んで歴代4位だった外国人投手の通算奪三振数を862とした。「うれしいですね。これからもどんどん積み重ねていければと思います」。次はスタンカ(大洋)の持つ887。今季中の記録更新は確実だ。

 今月2日。メッセンジャーは翌日のDeNA戦(横浜)登板に向け、都内で調整していた。休憩中、ふと遠くに目をやると、同じ敷地で草野球が行われていた。楽しげに野球をする姿を見ていた右腕は次第に熱を帯びていった。投手が空振り三振を取ると「ナイスピッチ! ナイスボール!」。好守には「オーグッド!」と派手なアクションのアウトコール。リラックスして臨んだ翌日の試合では8回12奪三振1失点。シーズン序盤、イライラを重ねた姿はそこにはなかった。

 チームは8月に入り、6連戦ウイークが続く。「いつも早く投げたいと思っている。夏自体は好きだしね」。頼もしい鉄腕が腕まくりした。【梶本長之】

 ▼メッセンジャーが今季3度目の中4日登板で、ようやく白星。中4日では14年9月14日広島戦以来の勝利。来日後中4日登板は計18試合、6勝8敗、防御率3・18。