盛岡名物わんこそばのように本塁打もおかわり! ソフトバンク柳田悠岐外野手(26)が盛岡での楽天戦で2発を含む4安打6打点の大暴れだ。5回、20号に到達する2ラン、9回には21号ソロを放ち今季3度目の1試合2発を決めた。目標とするトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)にまた前進。チームの貯金も昨年の最多に並ぶ27と、もうおなかいっぱい。

 盛岡の夜空に大きな弧を描く、柳田らしい豪快な1発だった。9回。「オリャー!」と叫びながら放った1発は、右翼席最上段に達するこの日2本目の21号。ホームベースを踏むと拳を握り「ヨッシャー」と雄たけびをあげた。

 「甘い球だったけど、しっかり仕留められてよかった。(調子は)ちょっと良くなっているかなというのはありますね」

 前日28日の秋田での2打席目。フルカウントからフォークを見逃して四球を選び、復調への兆しを感じ取った。そしてこの日は初回から全開。盛岡名物のわんこそばをおわんに入れるかのように、次から次へと得点を重ねた。

 初回は右前打を放ってチャンスを拡大し、先制点をお膳立て。3回は1死二、三塁で二ゴロながら、チームに2点目をもたらした。5回は右越え20号2ラン。7回には無死二、三塁から高谷、明石、本多に続く後半戦チーム初の4連打でさらに2打点。そして5打席目が、とどめの1発だった。

 今季初の1試合4安打6打点。7月中旬以降、調子を落としていたが、これで打率は3割6分まで復調した。打点も松田に並びチームトップとなる63打点。シーズンに換算すると34本塁打、102打点、28盗塁のペースで、目標とするトリプルスリー、さらには100打点も現実味を帯びてきた。柳田は「目標はまだまだなんで、これから引き締めてやっていきたい」と冷静だが、期待は膨らむばかりだ。

 不調から脱出するには「運を引き寄せるのも大事」と話す柳田。そのためには「しっかり食事を取ること」だという。秋田入りした27日には明石に誘われ、高級すし店で日本海の幸に舌鼓を打った。そして秋田、盛岡と2日連続のアーチ。「明石さんのおかげです。秋田、盛岡に感謝ですね。いいところだ!」と、幸せに満ちた笑顔だ。 工藤監督も「(本塁打よりも3回の)二ゴロがよかった。皆、自分がやるべきことをしっかりやってくれている」と、状況に応じた打撃を貫く3番に目を細めた。これで貯金27。後半戦、投手陣に頼りきりだったチームにとって、柳田の復調はとてつもなく大きい。【福岡吉央】

 ◆トリプルスリー 同じシーズンに打率3割、30本塁打、30盗塁を記録すること。02年松井(西武=現楽天)まで8人が達成している。2リーグ分立元年の50年にはパで別当(毎日)セで岩本(松竹)が同時にマークした。