混戦セ・リーグに食らいつけ! 広島は連勝が止まり、借金は5になった。緒方孝市監督(46)は冷静に敗戦を振り返った。だんご状態が少しずつ解消されつつあるセ・リーグで、もたついてはいられない。敗戦のなかで光明を放った1番野間の安打と盗塁に、5番降格に燃えた新井の意地などプラス材料に目を向け、今日勝ってカード勝ち越しを決めたい。

 半分が真っ赤に染まった神宮は熱気に支配されていた。敗戦後のクラブハウスへの道のり。「緒方監督、優勝が見たいよ!」。「しっかりせえよ!」。温かい声援も、ヤジも、緒方監督は全身で受け止めた。冷静に口を開く。先発今井は3回途中で降板した。指揮官は2回1死三塁で前進守備を敷いていた遊撃田中が正面のゴロを捕球しながら本塁に投げなかったプレーも挙げてかばいながらも、奮起を促した。

 「当たっている打者に対して、攻めていっていた。逃げてはいなかったけどね。広輔の守備は前進をさせている意味がないし、あれ、という守備だった。ただその後も失点してしまっているのでね」

 中継ぎの永川、戸田も打たれ計3発8失点。ただ、大敗のなかで見えた希望もある。5月30日オリックス戦(京セラドーム大阪)以来のスタメン起用で、4月5日以来の1番で起用した野間は1回にいきなり中前打を放ち、盗塁も決めた。4番をシアーホルツに譲る形となった新井は14打席ぶりの安打を4回に放ち、7回には適時打。代打の切り札小窪も、右前適時打でしっかり結果を出した。

 「打順はね。つながらなかったけど。連戦も続くし調子や相手を見ながら変えていくというのは言っている。新井も含めてね。もちろん4番を打ってもらうことが多くなるだろうけど」

 連勝が止まり、借金は5に。ただ順位は4位のままで、首位とは4ゲーム差だ。5点を追う8回の守備では菊池がダイビングキャッチを試みるなど、最後まで誰も諦めていなかった。これで7月の月間成績は9勝9敗の5割だ。敗戦を糧に変えていけるか。まだまだセ界を混乱させてくれるはずである。【池本泰尚】