「長期ロード」初戦は、痛恨逆転負け…。虎が3点先制もリードを守れず、3連敗を喫した。上本博紀内野手(29)が、攻撃では3安打2盗塁したが、守備で悔しすぎる2失策。夏の甲子園期間中に本拠地を離れる恒例の「長期ロード」は3年ぶりの黒星発進。首位を争う巨人とヤクルトがつぶし合っている間に勝たなきゃいけなかったのに、巨人に1・5ゲーム差に離されてもうた。

 最後は2死満塁、主砲ゴメスが倒れて3連敗が決まった。ただ、追いつけなかったのではない。逃げ切れなかった。試合後、敗戦を背負い込んだ選手がいた。上本だ。

 「自分のミスで迷惑をかけてしまって。申し訳ないです…」

 神妙な表情で、うつむきがちに帰りのバスへと消えた。攻めては3安打1打点2盗塁。守っては2失策。はからずも、先手を取りながら勝てなかった試合を象徴してしまった。

 黒田から3点を先制した直後の2回、岩田がグスマンに2ランを浴び、接戦に引きずり込まれた。再び2点リードに広げた3回、無死一塁からロサリオの打球は二塁上本の正面へ。だれもが併殺を期待した次の瞬間、股間を抜けていった。この失策をきっかけに1点差に迫られた。7回には自らのバットで勝ち越し打を放ったが、その裏の守り。無死一塁から上本は丸の二遊間への打球に飛びついて好捕した。だが、送球がワンバウンドとなって逆に一、三塁とピンチを広げてしまった(記録は二塁内野安打と失策)。ここを安藤がしのげず、逆転を許した。

 和田監督 岩田だよな。黒田に対して早い回に点を取って。その裏を抑えると、打撃もバッテリーも乗っていけるけど、あの2ランで向こうが元気出てしまった。(上本は)打つだけではなく、守りをしっかりやっていかないと。もちろん、しようと思ってしているわけではないんで。

 指揮官は最大のポイントを2回に岩田が浴びた2ランを挙げた。上本の必死さは十分感じていた。ここまで得失点差が大幅にマイナスながら、先行した試合を手堅く逃げ切ってきた。守りの力が猛虎を支えてきた。勝負の8月に入り、先発4本柱に心配な結果が続いている。それならばバックが…。そんな状況でのミスだからこそ、担当コーチも手厳しかった。

 高代作戦兼内野守備走塁コーチ 技術的にエラーする捕り方をしている。足を止めて膝をついて。甲子園でも言った。いつかトンネルすると。(7回は)投げたらアカン。状況判断や。

 約1カ月ぶりの3連敗で首位巨人と1・5差。先発も、中継ぎも疲れは隠せない。酷暑とともに不安材料が増えてきた。

 和田監督 チームとしても長期ロード黒星スタートになってしまったけど、今年はこういうところをはね返してきたんで。これからという気持ちで、明日からいきたいと思います。

 不安を振り払うように言った。勝負の夏場、正念場のロードは、まだ始まったばかりだ。【鈴木忠平】

 ▼阪神が、全国高校野球選手権大会のため甲子園を離れる長期ロードで、初戦を落としたのは3年ぶり。和田阪神の長期ロード最初のカードの勝敗は、12年広島戦●●●、13年巨人戦○●○、14年ヤクルト戦○●●。長期ロード最終勝敗は12年7勝14敗3分け、13年14勝9敗、14年11勝10敗だった。

 ▼阪神の長期ロード初戦は99~01年の野村克也監督時代が●○○、02~03年の星野仙一監督時代が●●、04~08年の岡田彰布監督時代が○●●○●、09~11年の真弓明信監督時代が●●○だった。

 ▼阪神が先手を取りながら試合を落としたのは、7月25日DeNA戦(甲子園)以来(3回に2点を奪うも5回に一挙4失点、最終スコア2-5)となった。ただし阪神は今季、先取点を挙げた試合で38勝(15敗1分け)。その38勝は両リーグトップの勝ち星。2位は巨人の36勝(15敗1分け)、3位でパの1位はソフトバンクの35勝(9敗)。12球団最下位はDeNAの25勝(12敗)となっている。