ロッテのもう1つのデスノートが、ソフトバンクを2カ月ぶりの連敗に追い込んだ。3回2死一、二塁。田村龍弘捕手(21)は、1ボールからの2球目にヤマを張った。武田の144キロを左中間フェンスに直撃させた。2人の走者をかえす適時二塁打。「イチ、ニイのサンで振った」という打撃が勝利を決定付けた。

 7日はデスパイネが本塁打を打つと15連勝という「デスノート」伝説で勝ったが、田村にも同様の伝説がある。6月12日の巨人戦以来、安打を放った試合は12連勝。この日の試合も神通力は落ちていなかった。

 単なる都市伝説ではない。守備面での成長が連勝神話につながっている。「大胆にいくところと引くところを考えながらやっている」と田村。この日も1回無死一、二塁のピンチを招いたが、カーブをカウント球にスライダーを引っかけさせる組み立てでしのぎ、唐川の持ち味を引き出していった。3回の本多の二盗阻止は、伊東監督から「あれが大きかった。あの盗塁を刺して流れが来た」と褒められた。守備面での安定と勝負強い打撃が、チームの勝率を上げている。

 昨季限りで引退した里崎氏がつけていた背番号22を狙っている。真の後継者となるべく、活躍し球団にお願いするつもりでいる。その前に里崎氏に「つけてもいいですか」と聞くと「せめて2割打ってからにしてくれ」と言われた。この日、4打数無安打だったら1割台突入だったが、貴重な適時打で持ちこたえた。

 ソフトバンク相手に2連勝を決め「上位のチームに勝つのは難しい。でも2位も見えてきたし、もう1つ勝ちたい。勝てば勢いに乗れる」と、3連勝に向けて気持ちを高ぶらせた。今日も、田村の安打が、ソフトバンクに黒星を付ける。信じるか信じないかは、あなた次第だ。【竹内智信】