阪神が今夏の甲子園で3本塁打を放った大型遊撃手、仙台育英の平沢大河内野手(3年)を最上位候補としてリストアップしていることが1日、分かった。現在、ドラフト1位最有力候補は県岐阜商・高橋純平投手、次いで東海大相模・小笠原慎之介投手だが、それに次ぐ存在として、野手ではNO・1の評価に急浮上。「ポスト鳥谷」として球界関係者が太鼓判を押す逸材に熱視線を注ぐ。

 猛虎の本拠地を沸かせた高校生スラッガーが今秋、運命の糸に導かれるかもしれない。3番遊撃手として仙台育英を準優勝に導き、高校日本代表の主力として世界と戦う平沢の評価が急浮上している。ある球団幹部はこう評する。

 「野手ではNO・1(の評価)だろう。やはり、鳥谷の後というのを育てておかないといけないからね。外れ1位という可能性はあるかもしれない。それぐらいでないと消えてしまうかもしれない」

 現在、阪神のドラフト1位最有力候補は県岐阜商の長身右腕・高橋純だが、今夏に東海大相模を優勝へと導いた150キロ左腕小笠原もそれに次ぐ候補としてマークしている。ただ、超高校級の投手2人に対して、指名が競合することは十分に考えられる。あくまで現時点でのシミュレーションだが、仮にそうなった場合、野手NO・1評価という平沢が「外れ1位」、つまり最上位指名になる可能性があるという。この日も舞洲で行われたU18ワールドカップでのプレーをスカウトが視察している。

 チームには鳥谷という絶対的な遊撃手がいる。04年の入団以来、12年間、だれにもポジションを渡さずに試合に出続けている「鉄人」だ。ただ、球団としては鳥谷が健在であるうちに強力な後継者を育てておきたい思惑がある。現在でも11年の3位西田、12年の2位北條、14年の5位植田ら候補がいるが、強肩、強打と大舞台での強心臓を持ち合わせるスケールの大きな平沢ならば、「ポスト鳥谷」の筆頭候補として期待を集めるだろう。

 この日は大阪市内の電鉄本社で坂井信也オーナー(67)への定例報告が行われた。南球団社長、高野球団本部長、中村GMらがドラフトも含めた編成面についても話し合った模様。同オーナーは「(候補)名前だけは書いてあったけど、だれがどうということはない」と話した。最終的な指名選手決定はU18大会終了後、ドラフト会議直前になる見込み。それでも、最上位として虎が狙うターゲットは投手だけではなさそうだ。

 ◆平沢大河(ひらさわ・たいが)1997年(平9)12月24日、宮城県多賀城市生まれ。城南小1年からリトルリーグの塩釜ドラゴンズで内野手として野球を始め、高崎中では七ケ浜シニアに所属。仙台育英では1年春からベンチ入りし、秋からレギュラー。昨秋の明治神宮大会決勝で本塁打を放ち優勝に貢献。今夏の甲子園で3本塁打。176センチ、76キロ。右投げ左打ち。家族は両親と兄、妹、弟。