いつもは駆け足で戻るベンチ。阪神岩田稔投手(31)は落胆の表情で歩いて帰るしかなかった。5回を投げ6安打5失点。前回8月27日、マツダスタジアムで投げ負けた広島前田にまたも敗れ、今季8敗目を喫した。甘くなったのかと問われ「そんなことはないんですけど、打たれたんで…」と唇をかんだ。

 試合後、左腕が力なく振り返ったシーンは同点で迎えた5回だ。2死二塁のピンチで2番菊池に適時二塁打を浴び1点リードを許した。ここで踏ん張りたかったが、2死一、三塁とし、打席には前回決勝本塁打を打たれたエルドレッド。カウント1-1から高め直球を完璧に捉えられバックスクリーンに運ばれた。前回8月27日に続く悪夢。あまりに痛い3ラン。中西投手コーチも「(エルドレッドに)もうちょっと(コースを)ワイドにいけと言ったんだけどな。あそこは1点差で止めとかないと」と嘆いた。

 1点リードしていた4回には無死一塁でエルドレッドへの投球がワンバウンド。暴投で無死二塁とするとその後、2死一、三塁では一塁にけん制。今度は送球が上にそれ、一塁ゴメスが体勢を崩しジャンプ捕球。その隙に三塁走者新井に本盗を許し同点に追いつかれた。「暴投気味に投げてしまった僕のせいです…」。これでマエケンとの先発対決は5戦5敗。チームだけでなく岩田自身も“天敵”に勝てない。

 次回は中5日で8日巨人戦に投げる予定。状態に問題なければ、そのまま中4日で13日広島戦に向かう見込みだ。そして、13日は再び甲子園で前田と投げ合う可能性がある。このままじゃ終われない。【梶本長之】