頼りになる男だ! 2試合連続で4番に座った阪神福留孝介外野手(38)が前日3日の決勝本塁打に続き、適時打で勝利をたぐり寄せた。8回、1点リードしてなお2死一、三塁。浅尾が投じた外角低めフォークに手を出すと、打球はしぶとく中前に抜けた。

 「点が欲しい場面だったから、どんな形であれ、取れて良かったよ」

 チームトップの今季66打点目を刻んだ適時打は、先発メッセンジャーを助け、敵の戦意をそいだ。「先っぽだね」と完璧ではなかったが、しぶとさで1点を運んだ。3打席目までは初対戦のネイラーに2打数無安打1死球。和田監督も「孝介の2点目が大きかったな。1点だと、あと2イニングあるから分からなかったけど」と価値をかみしめた。

 猛虎の歴史における第96代の4番。3日から福留が担う打順は、首脳陣にとっても大きな悩みだった。不調のゴメスが「ドローン」を試合前練習で飛ばした2日。その数時間前の時点で、2軍の鳴尾浜を視察した首脳陣の1人は、800試合で4番の経験を持つ掛布DCへアドバイスを求めていた。ゴメスの打撃をいかにして戻すか。4番を代えるのか、それとも…。意見交換しつつ、首脳陣が煮詰めた結果は「代えるとしたら福留しかいない」だった。それほど熱い信頼が寄せられていた。

 福留は前夜「うちの4番はゴメスだから」と言い切った。渦中にいるゴメスはもちろんつらいはずだ。それでも「勝利」への最善策として、福留は4番を託された。期待に応える姿は今、猛虎の危機を救っている。【松本航】