ポーカーフェースが崩れた。0-0で迎えた7回、先頭のルナに死球を当てたときだった。好投を続けてきた阪神岩崎優投手(24)が、痛恨の1球に思わず表情をゆがめた。

 女房役の藤井がマウンドに駆け寄った。間を取ったが、流れを断ち切ることができない。4番平田への3球目、直球が高めに浮き右翼線への二塁打。1死を取ったがエルナンデスには四球。1死満塁のピンチを招き交代が告げられた。ベンチに下がる岩崎は唇をかみしめることしかできなかった。ルナへの死球が痛かったかと問われると「そうですね」と肩を落とし移動のバスに乗り込んだ。

 6回までスコアボードに0を並べ続けた。直球、スライダー、チェンジアップを組み合わせ、緩急を使いながら中日打線を翻弄(ほんろう)した。「最初から飛ばしていけと言われたので、ストライク先行でテンポよくいきました」と要した球数も76球。1度も二塁を踏ませなかった。1週間前、ヤクルト戦で投手館山に3ランをくらって4回持たず7失点KOされた姿はもうなかったが、援護を待ち切れなかった。

 6回1/3を4安打2失点で今季7敗目。自身2連敗を喫した。プロ1年目の昨年、ナゴヤドーム初登板となった4月24日は白星を挙げたが、それ以降、5戦4敗と勝てていない。岩崎もまた、ナゴヤドームに苦しんでいる。

 8月に3連勝し「第5の男」の座に座った背番号67。チームはV争い最前線。2年目左腕のもうひと踏ん張りが必要だ。【宮崎えり子】