楽天は7日、星野仙一シニアアドバイザー(SA=68)が取締役副会長へ就任すると発表した。大局的な立場から助言を送るSAから職位変更され、編成、ドラフトなど実務的なチーム作りにおける権限が与えられる見込みだ。三木谷浩史オーナー(50)、立花陽三球団社長(44)に次ぐ立場となり、低迷するチームを再建する。今後行われる臨時株主総会の後に正式決定。今日8日に立花球団社長が詳細を説明する。

 闘将が楽天の立て直しを引き受けた。星野SAの取締役副会長就任が発表されたこの日、都内でNPBの実行委員会に参加した安部井寛チーム統括本部長(41)が取材対応。「知らない部分もあるので適当なことは言えない。社長がしっかり説明する」と話すにとどめたが、球団関係者の話を総合すると、編成権やドラフト指名方針といったチーム作りの根幹に関わる権限を与えられる見込みだ。

 取締役副会長となる意義は大きい。今季は三木谷オーナーの現場介入が取りざたされ、田代打撃コーチがシーズン途中で退団。チーム内の結束力が低下し、再建の核となる人材が求められていた。そこで、球界に精通する星野SAは適任だった。球団の編成権などを持つ“現場総監督”のような存在になることで、球団イメージの回復にも努める。立場としては、大リーグでGMを超える存在として脚光を浴びる「編成統括責任者」に近いとみられる。

 すでに来季のチーム作りへ、動き始めている。8月26日には甲子園で高校日本代表対大学日本代表の試合を観戦。今月1日には立花球団社長とドラフト指名候補リストを手に、指名方針などを話し合った。強いチーム作りのために熱心に話し込み、将来像を共有した。球団運営にも携わるが、立花球団社長の営業力を高く評価。常々「あいつは営業の天才」と話し、集客などは任せて、グラウンド内のことに集中する。また大久保監督が今季限りでの辞意を固めており、次期監督についても星野SAの意向が強くなる見込みだ。

 今日8日に立花球団社長が就任への経緯や役割について話す予定となった。チーム内からは「星野さんが現場を取り仕切るなら大歓迎」と待望されており、低迷を脱する切り札となりそうだ。