中日小笠原道大内野手(41)が17日、名古屋市内で会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。現役最多の通算2119安打を誇るバットマンは後悔なしを強調。21日の古巣巨人戦(ナゴヤドーム)が引退試合になりそう。「心の火は消えない」と、今度は指導者として第2の野球人生を歩み続けることを宣言した。来季は中日の2軍監督就任が濃厚になっている。

 時折、目を潤ませたようにも見えたが表情は常に晴れやかだった。ジョークも交えた。選んだのは2年前の中日入団時と同じ青のネクタイ。「出てきたのがこれなんで。せめてネクタイくらいは爽やかにと。顔が濃いもので」と会場を爆笑させた。「サムライ」と呼ばれるほど愚直にフルスイングを貫いた19年。約30分の会見で、走り抜いた思いを表現し切った。

 「ホッとしているというか、この日が来たなというか、あらゆる思いが交錯している。すっきりしている。プロに入ったときから1年1年が勝負と思ってやってきた。その積み重ねで何とかやってこられた。よくやったと思っている。ただうまくなりたい、強くなりたい。それが根底にずっとあった。その中で走り抜けた19年間だった」

 7月下旬、左太ももを痛めて出場選手登録を抹消された。「体の部分で、しっかり走れないとか思い切ったプレーができない。そのギャップで決断した」。来季の戦力構想から外れていることも理解していた。この数年は常に身の引き際と向き合ってきたという。中日では2年間、代打の切り札として君臨。来季もまだやれる自信はあったが、今が「そのとき」と悟り、きっぱり迷いを断った。

 代名詞のフルスイングを貫いた19年。故障とも戦いながら、現役最多の通算2119安打を積み重ねた。日本ハム、巨人と両リーグでMVPに輝いた。06年の日本ハム優勝を置き土産に移籍した巨人でも主砲として3連覇に導く大活躍。記録にも記憶にも残る大打者だった。21日の古巣巨人戦が引退試合になる予定だ。

 フルスイング人生には続きがある。「野球に対して、心の火は消えない。野球を通して成長させていただいた。恩返しするのが自分のこれからの使命」。今度は指導者として第2の野球人生を歩む。来季は中日の2軍監督就任が濃厚になっている。【柏原誠】

 ◆小笠原道大(おがさわら・みちひろ)1973年(昭48)10月25日、千葉県生まれ。千葉・暁星国際高からNTT関東。96年ドラフト3位で日本ハム入団。02年から2年連続で首位打者、06年は打点と本塁打の2冠。FAで巨人に移籍した07年には江夏豊以来、史上2人目となる両リーグでMVP。11年に通算2000安打を達成。13年オフにFAで中日移籍。ベストナイン7度、ゴールデングラブ賞6度。178センチ、84キロ、右投げ左打ち。推定年俸4500万円。