日本ハム大谷翔平投手(21)が12球団単独トップの14勝目を挙げ、チームを2年連続のクライマックスシリーズ(CS)進出に導いた。西武24回戦(札幌ドーム)に先発し、9回完投で2安打1失点、11奪三振。防御率、勝ち数、勝率に続き、奪三振数でもリーグトップに立った。日本ハムはこの日の勝利でシーズン3位以上が確定。今日20日にも2位も確定する。

 打球は三遊間を転がった。ため息が充満するスタンド。だが大谷は表情を変えることなく、足元のロジンバッグに手を伸ばした。6回2死、85球目で許した初安打。「(ノーヒットノーランの意識は)特にないです」。続く栗山にも適時打を浴びたが、心は乱れなかった。許した安打はこの2本だけ。今季最多139球の完投勝利。チームのCS進出を決定させた。

 第1Sで再戦の可能性が高い西武に“残像”を植え付けた。4回は栗山、中村、メヒアを3者連続三振。浅村を含めた中軸に、新たな試みで挑んだ。「今まではそんなにリスクを負って投げる必要がなかった」。あえて避けてきた、右打者内角へのスライダー。さらに110キロ前後のカーブをカウント球で使うのも、これまでと違う配球パターン。「CS前に試せた。(これまでと違う攻めは)短期決戦ではますます必要になる。バリエーションが増えたと思う」。

 出番がなかった今月5日オリックス戦のイニング間、左翼・西川のキャッチボール相手を務めた。観客席がファウルゾーンへせり出す、ほっともっと神戸。その前を行き来する際、ファンの中から子どもを探し、手渡しでボールをプレゼントした。球団関係者は「大事なファンサービス。子どもを選ぶというのも彼らしい」。3年目で生まれ始めた余裕と自覚。優勝を逃しても足を運んでくれた3万563人のファンへ、この日はマウンドで最高のサービスを提供した。

 9回2死、「狙ってました」というメヒアから奪った三振は、リーグトップに立つ184個目の奪三振。防御率、勝ち数、勝率を合わせ、投手4部門で頂点に立った。「それはあとからついてくるもの。1戦1戦頑張ります」。優勝を逃した悔しさは、大谷のさらなるモチベーションになる。【本間翼】

 ▼大谷が自身の連敗を2で止めた。大谷の2連敗はプロ入り後3度あったが、3連敗はまだない。これで再びパ・リーグ投手5部門(勝利、防御率、奪三振、勝率、完封)のトップに立った。この5部門すべてリーグ1位は06年斉藤和巳(ソフトバンク)まで過去7人いるが、パでは斉藤以外に59年杉浦(南海)だけ。リーグ3人目、球団では初の快挙なるか。