ソフトバンクが王者の貫禄を2位日本ハムに見せつけた。敵地札幌ドームでの一戦。昨年4戦4敗で、クライマックスシリーズでも対戦の可能性がある先発中村から初回に5連打と犠飛で3点を先行。主導権を渡さず、今季88勝目を挙げた。福岡に球団移転後、年間最多勝利となる89勝に王手。球団5000勝にも王手をかけた。

 ソフトバンクに天敵の2文字はない。初回の速攻劇で、日本ハム中村を攻略した。2番本多から5連打が飛び出す。各打者が甘い球を見逃さず、早いカウントから仕掛けた。「初回のああいう形はCSでも大事になる。見据えてやっていかないと」。副キャプテンの言葉がチームの気持ちを代弁していた。単なる消化試合ではない。視線はポストシーズンに向けられていた。

 相手右腕には、昨年は4戦4敗と苦しめられた。8月30日の前回対戦でも、7回途中まで2点に抑えられていた。試合前には藤井打撃コーチが指示を与えた。「カーブは分かっていても、タイミングをズラされる。ストレートとフォークを狙っていこう」。4番内川は内角シュートを左前にはじき返し、先制タイムリー。続く李大浩はフォークを中前に運んだ。指示通り、直球系のボールを的確に捉えた。「良ければCSで投げる可能性もある。それもにらんでやっていきたい」と同コーチは言った。優勝後も気の緩みはなく、首脳陣と選手は一体感を見せている。

 前回の日本ハム戦はメンドーサ、吉川、大谷の3本柱を完全に攻略し、同一カード3連勝を果たした。苦手の中村にも黒星をつけた。工藤監督は打線の働きを高く評価した。「前回は打てなかったが、積極的に高いボールを打っていった。いいつながり、いい得点をしてくれた」。CSで対戦する可能性のある投手を次々と撃破。これで日本ハム戦は引き分けを挟んで、5連勝。短期決戦のCSで、精神的優位に立てるのは大きい。

 これで球団通算5000勝に王手。福岡移転後の年間最多勝利となる05年89勝にもあと1勝に迫った。最強軍団の快進撃はまだまだ続きそうだ。【田口真一郎】

 ▼ソフトバンクが今季88勝目を挙げ、球団通算5000勝へ王手をかけた。昨季終了時は4911勝4488敗355分け、勝率5割2分3厘。今季21日現在88勝39敗4分けで、通算4999勝4527敗359分け、勝率5割2分5厘となった。年間勝利数も11年優勝時の88勝に並んだ。なお、貯金はこの日で49。50の大台にも王手となった。