東農大北海道の井口和朋投手(4年=武相)がプロ志望届を提出し、28日に全日本大学野球連盟のホームページで公表された。大学日本代表の一員として、ユニバーシアードの金メダル獲得に貢献した最速149キロ右腕。憧れの世界への期待を胸に、プロ野球ドラフト会議(10月22日、東京・グランドプリンスホテル新高輪)での吉報を待つ。

 井口がプロの世界へ思いをはせた。「野球を始めた頃からの夢、憧れ。行けるなら(12球団)どこでも」。最速149キロの直球とスライダーで打ち取る、制球力が持ち味。これまで12球団のスカウトが全国大会やリーグ戦に足を運び、7球団から調査書を受け取っている。

 1年前から進む道は決めていた。昨秋のドラフト会議でヤクルトに2位指名された1学年上の風張が、チームメートから胴上げされる様子を見て思った。「来年は自分もこうなりたい」。その後の明治神宮大会では大会中にケガした風張の穴を埋めるべく、3試合に登板。12回2/3を無失点に抑え初の4強入りの立役者となった。一気に注目を集め、プロ入りの可能性を近づけた。

 もう1人の先輩からは勇気をもらった。1年時に4年だったソフトバンク飯田は育成3位から昨年支配下登録され、1軍で2勝。日本一チームではい上がった姿に「入ってしまえば順位は関係ない」。周囲からは社会人野球で2年間、力をつけてからのプロ挑戦も勧められた。それでも「挑戦したい」と決めた。

 最後のアピールの場へ、着々と準備を整える。10月4日からは札幌学生覇者の道都大との明治神宮大会北海道地区代表決定戦(札幌円山)が控える。ドラフト会議前、最後の試合。「結果を出さないと。今はそれだけを考えている」と大一番へ集中する。全国切符をつかみ、自信を持って指名を待つ。プロ入りを決めて大学生活最後の神宮へ乗り込む。これが井口の描く夢の道だ。【保坂果那】

 ◆井口和朋(いぐち・かずとも)1994年(平6)1月7日、神奈川・横浜市生まれ。横浜中山小1年からDMファイターズで野球を始める。武相-東農大北海道。2、4年時に全日本選手権、3年時に明治神宮大会に出場し4強。全国大会は通算6試合27回2/3で3失点。家族は両親と兄、弟、妹。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。