ドラフト1位候補の明大・高山俊外野手(4年=日大三)が、リーグ通算128安打を放ち最多安打の新記録を樹立した。1-1の7回裏に東大の右腕、柴田叡宙投手(2年=洛星)の代わりばなをたたき、左中間への三塁打でメモリアルを達成。明大の先輩でDeNA高田繁GM(70)の持つ127安打の記録を48年ぶりに塗り替え、リーグ90周年の歴史に花を添えた。試合は高山の三塁打が勝ち越しにつながり、東大に逆転勝ちした。

 狙い澄ました逆方向への打球が、左中間へ飛んだ。高山は東大・柴田の投じた初球、チェンジアップを流した。「逆方向を狙う気持ちで、もう1回スイッチを入れました」。前打席まで右方向へ引っかけていたが、きっちり修正。俊足を飛ばして三塁へ到達した。開幕から6試合連続で今季11安打目。電光掲示板には新記録達成の文字が躍り、大歓声が起こった。

 最初の1本目が東大戦で、128安打目もまた東大戦だった。「緊迫したゲームの決勝点に絡む安打が記録になったことがうれしかったです」と、勝ち越しのホームを踏んだことを喜んだ。3年秋に100安打を達成し、迎えた今春。「すごいプレッシャーを感じていました」。立大・大城も通算100安打に迫る中、自身は最多安打に向けひたすら安打を積み重ねる日々だった。敵を退け、孤独を乗り越えて強くなった。

 夏以降は「打つこと」について考えるようになった。タイミングの取り方を変え、維持ではなく進化をモットーに取り組んだ。すると、今まで話せなかった打撃論について話せるようになった。所属していた船橋中央シニアを訪問した際に、中学生から質問を受けると、バッティングのポイントについて答えられる自分がいた。「前は打撃についてそこまで考えていなかったんですが、考えるようになったら言葉にできるようになりました」。天才肌は努力をして、実りの秋になる手応えをつかんでいた。

 幼稚園のころ、滑り台に上がり顔面から落ちてもケガひとつしなかった。4年間、戦い抜く頑丈な体も新記録達成を後押しした。「自分が打てばチームも乗っていく、勝てると思っていましたが、春は17安打しても優勝できなかった。だから、まずは優勝することを一番に考えてやっていきたいです」。積み重ねた128本分、高山は成長を遂げた。【和田美保】

<高山128安打アラカルト>

 ◆学校 立大戦の30本が最多。以下法大28本、慶大27本、早大27本、東大16本と続く。春秋リーグ別では春69本、秋59本。

 ◆相手 石田(法大=現DeNA)と吉永(早大)の10本が最多。51人を相手に128本した。左右別では左43本、右85本。

 ◆打球方向 右方向に46本、中が30本、左は28本。内野安打は24。

 ◆打順 3番で半数近い63本を放った。以下2番38本、1番21本と続く。4番に入ったことはない。

 ◆イニング別 1回の34本、3回の20本、6回の19本と続く。延長戦の安打は1本しかない。

 ◆状況別 先頭で打席に入った30本が最多だ。アウトカウント別は無死47本、1死49本、2死32本。