来季も抑えは譲らない。広島中崎翔太投手(23)が11日、マツダスタジアムで練習を行った。1軍選手には13日まで休養が与えられている中、ほぼ連日、球場に足を運ぶ。秋季キャンプに向けた体力強化とともに、来季の課題と向き合う。チーム最多の登板数とセーブ数を記録した右腕は、いっそうの向上を求め続ける。

 今季広島で最も多くの試合でマウンドに立った中崎は、シーズン終了後も変わらず、チームの誰よりもマツダスタジアムに足を運ぶ。この日も休憩を挟み、5時間以上体を動かした。1年の疲れを癒やすことよりも、来季を見据えて早くも動き始めた。

 「これくらいの成績で飛躍の1年とは言えないし、言ってもらいたくない。(中継ぎに)新しい外国人を取るのかもしれないけど、頼っていてはいけないと思う。みんなで成長しないとチーム力が上がらない」

 抑えを任されたのはシーズン途中の5月。慣れないポジションで、重圧を背負った。抑え転向直後は救援失敗もあった。本拠地登板で、スタンドからため息が聞こえることもあった。「もう無理だ。投げたくないと思ったこともありました。でも自分が崩れたらチームがダメになる」。

 次第に安定感が増し、最後は18試合連続無失点でシーズンを終えた。チーム最多69試合に登板。積み重ねた29セーブにも達成感はない。「1軍に上がってから、この時期に試合ができないのは初めて。やっぱり投げたかった」。悔しさが中崎を練習へと駆り立てる。

 13日まで与えられている休日を返上。来月予定の秋季キャンプではクイックやけん制の技術向上に取り組む。「まだ信頼を完全に勝ち取れたわけじゃない。まだまだやらないといけないことはある」。抑えのライバルには新助っ人や新人が加わる可能性が。それでも今季手にしたポジションは譲らない。【前原淳】