阪神は16日、八木裕2軍打撃チーフコーチ(50)と来季のコーチ契約を結ばないことを発表した。前日15日に発表された5人の1軍コーチ退任に続く、連日の通達となった。09年から7年間にわたり2軍を指導してきた八木コーチの退任で、10年間リーグ制覇がないチームの抜本的な構造改革がさらに加速だ。

 八木コーチはこの日、みやざきフェニックス・リーグが行われていた宮崎から夜に帰阪。その足で兵庫県内のホテルに向かい、約10分の会談で通達を受けた。

 「1軍が優勝できなかった一部だから。若手がそう1軍に上がっていない。勝負の世界だから」

 12年ドラフト2位で入団した3年目の北條は、いまだに1軍で安打なし。打撃力が自慢の5年目一二三、2年目横田、陽川ら有望株も1軍昇格経験がない状況だった。丁寧な打撃指導で若手選手の信頼を得ながらも、責任を痛感。今後は野球評論家として活動する方向だ。

 球団としては和田監督を含め、ここまで首脳陣の7人がユニホームを脱ぐ大刷新が進んでいる。前日15日には高野球団本部長が「退任されるコーチの皆さんは、タイガースのために大変尽力していただきましたが、チーム成績により決めた考えです」と説明。V逸となった1軍だけではなく、チーム全体の基盤となる2軍にもメスが入れられた。新しいチーム作りを進める強い意志が、コーチ人事にも表れている。

 ◆八木裕(やぎ・ひろし)1965年(昭40)6月8日、岡山県生まれ。岡山東商-三菱自動車水島を経て、86年ドラフト3位で阪神に入団。90年から3年連続20本塁打以上。選手生活の終盤は代打が増え、通算代打本塁打13本は球団2位。04年引退。通算1368試合、817安打、126本塁打、479打点、打率2割4分7厘。現役時代は182センチ、76キロ。右投げ右打ち。今季は2軍打撃チーフコーチ。