「二刀流」は新たなステップを踏む。日本ハム栗山英樹監督(54)が20日、都内にある日本ハム本社の東京支社を訪れ、末沢オーナーにシーズン終了の報告を行った。その席で、就任5年目となる来季1年の契約延長も正式決定。二人三脚で歩んできた大谷翔平投手(21)の投打「二刀流」は、区切りとしていた3年が終了し、来季は一部制限を解除した新運用法で起用していく考えも明かした。

 来季1年の契約延長が正式に決まった。末沢オーナーと会談した栗山監督は「3年勝ってないわけだから。絶対に(優勝する)と思って受けました。自分が何をしたらチームのプラスになるのか。勝つために、1年間動いてみます」と、決意を口にした。前例のなかった大谷の「二刀流」挑戦も、区切りとしていた3年が終わった。入団以来続けてきた2人のチャレンジも、新たな階段を上がる。

 指揮官は、これまで設けてきた起用制限の一部解除を示唆した。「週1回投げて、あと5日(野手で)出るのが一番いいよね。だけどそれは体が壊れちゃう。でも、優勝を争っているときだとか、そういう週があってもいい」。登板前後の野手出場には慎重を期し、体に負担がかからないように間隔を空けてきた。登板前日の野手出場、登板翌日のスタメン野手出場は、入団以来1度もない。だが来季、勝負どころであれば、一時的に制限解除に踏み切ることも検討している。

 準備は進めている。今季のクライマックスシリーズ(CS)でも、ファイナルステージ(S)まで進めば、投手と打者のフル回転で起用するプランはあった。ファーストSでロッテに敗退して実現することはなかったが、同監督は「(中0日出場でも)使える体をつくっておかないといけない」と、来るべき日に備えていく。

 防御率、勝ち数、勝率で投手3冠を達成。打撃成績は落としたが、4年目を迎える来季は、投打ともにますますチームの中心となる。「全然ダメだろ! ちゃんとやってんのかって」。いつものように褒めることのない指揮官だが、厳しく接するのは高い期待があるからこそ。「裏を返せば、認めているからかもしれない」。世間に批判されながらスタートした二人三脚も、来季4年目を迎える。

 大谷以外にも、若く、可能性を秘めた選手たちは数多い。「ものすごく楽しみ。でも責任の方が大きいかな」。全身全霊をかけて、就任5年目へ向かう。【本間翼】