竜に小笠原! 「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が22日、都内で行われ、中日は1位で東海大相模・小笠原慎之介投手(3年)の交渉権を獲得した。日本ハムとの抽選で谷繁元信監督(44)が引き当てた。最速151キロを誇る甲子園のV左腕はさっそく1年目から活躍を誓った。中日は意中の県岐阜商・高橋純平投手(3年)の抽選こそ外したが、2位以下は全員即戦力。育成ドラフトでも投手中心に6人を指名した。

 小笠原には即戦力の自負がある。指名直後の会見でプロでの目標を問われると、間髪入れずに即答した。「1年目から活躍したい思いが強いので、新人王を取りたいと思います」。大卒や社会人経由のルーキーが獲得することの多いタイトルを、正面から狙いにいく。堂々たるマウンド度胸が、強気な物言いに表れた。

 少しだけ、悔しそうな表情を浮かべていた。12球団最初の指名で名は呼ばれなかった。いわゆる「外れ1位」。「欲はなかった」と言ったが、「自分より先に指名された選手がいて悔しい」とも言った。今夏の甲子園を制し、第27回U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)では2試合8イニングを投げて防御率0・00。準優勝に貢献した。左腕から繰り出される剛速球は最速151キロで、高校生にして十分な実績を持つ。

 左肘も順調に回復している。滑膜炎のため今秋国体の登板を見送ったが、すでにブルペン投球を再開した。「先週からですね。もう普通に投げてます。甲子園と変わらずにとまではいかないので、これからです」。焦りはない。

 この日は、左右の2枚看板として3年間助け合った吉田凌投手(3年)も、オリックスの5位で指名された。「自分たちの特徴を生かして、プロで投げ合えたら」。リーグは違う。でも再会の舞台が日本シリーズなら、最高だ。

 中日で左腕といえば、今季限りで引退の山本昌が浮かぶ。父仁さん(45)より年上の大先輩の姿勢に、感銘を受けた。「野球を長くやることは、1つの目標。体も丈夫で、学ぶことがたくさんある。昌さんを超えるくらいやってみたい。チームの日本一に貢献できるような投手になりたいです」。8日に18歳の誕生日を迎えたばかりの若武者が、長く明るい、プロ人生の第1歩を踏み出した。【鎌田良美】

<小笠原慎之介(おがさわら・しんのすけ)アラカルト>

 ◆生まれ 1997年(平9)10月8日、神奈川・藤沢市生まれ。

 ◆球歴 小1で野球を始め善行中では「湘南ボーイズ」で2年夏に全国4強。3年夏にジャイアンツカップ優勝。東海大相模では1年春からベンチ入りし、今夏の甲子園は、仙台育英との決勝戦で自らV弾を放って優勝投手に。

 ◆アニキ 4年前のドラフト1位高橋周は中学校とボーイズチームの4つ先輩。「小学校の時も公園で一緒に野球しました。同じチームで心強いです」。

 ◆慎之介の由来 名付け親は曽祖父。「由来は巨人の阿部(慎之助)さんではないみたいです」。

 ◆趣味 車を見ること。洋画を見たり、洋楽を聴くこと。リラックス方法は寝ること。

 ◆サイズ 180センチ、83キロ。胸囲100センチ。握力右50キロ、左49キロ。50メートル走は6秒8、遠投110メートル。左投げ左打ち。