今夏の甲子園、U18W杯で活躍したみちのく投手トリオが、そろって指名された。プロ野球ドラフト会議が22日都内で行われ、仙台育英の佐藤世那(3年)はオリックスから6位で指名された。なかなか名前が出ず、不安と闘いながら、念願のプロ指名にうっすらと涙も浮かべた。プロ入り後はロッテに1位指名された同僚の平沢大河内野手(3年)との対戦を希望した。

 名前が呼ばれた瞬間、佐藤世は大きく息をついた。校舎内の会見場で待ち続けること約2時間半。後ろからチームメートの歓声が聞こえると、顔を紅潮させ、少し目をうるませた。だがそれもつかの間、口元を引き締め「本当にほっとしている。平沢と同じパ・リーグでうれしい。同じプロの舞台で勝負してみたい」。まっすぐに前を見た。

 仙台育英エースとして今夏甲子園で準Vに貢献。続くU18W杯では、強敵の米国、カナダ戦に勝利と日本代表でもエースの活躍をみせた。だがチームメートの平沢、代表で一緒だった高橋純平、小笠原慎之介、高橋樹也、成田翔らが指名されていく中、ようやく6位での指名。「それぐらいだと思っていたので…。ただみんな仲間であるとともにライバルなので、悔しい気持ちもあった」と本音ももらした。

 実績は残してきたが、右腕のテークバックが大きい独特のフォームから、プロからの評価はなかなか上がらなかった。だがこの投げ方が自分には一番合っていると信じてやってきた。「プロでも自分から(フォームを)変えるつもりはありません」。セナ流を貫くことを宣言した。

 運命の日を前にして、最近はドラフト会議の夢を見ることが多くなったという。「大体5位から6位ぐらい(笑い)。でももう夢じゃなくて現実になった。あこがれの(オリックス)金子さんに少しでも近づけるように、一から鍛え直していきたい」と目を輝かせた。【石井康夫】