巨人軍の次期監督に、高橋由伸外野手兼任コーチ(40)が就任することが23日、決まった。同日午後、渡辺恒雄最高顧問(89)と白石興二郎オーナー(69)と面会し、要請を受諾することを伝えた。巨人は今季セ・リーグ4連覇を逃し、クライマックスシリーズ(CS)でもファイナルステージで敗退。原辰徳前監督(57)が19日に退任した。高橋由は今季限りで現役を引退し、監督業に専念する。26日に就任会見を行う。

 高橋由が巨人軍の新監督に就任する。20日に初交渉を行ってから、球団側と水面下で話し合いを重ねてきた。23日午後に渡辺最高顧問、白石オーナーと面会。受諾の旨を伝えた。今季限りで現役を引退し、チームの指揮に専念する。

 高橋由 本日、渡辺最高顧問、白石オーナーに今季限りで現役を引退し、来季から監督をやらせていただくことをご報告しました。巨人軍の歴代監督は偉大な先輩方が務めてきました。そこに少しでも近づけるよう、覚悟を持ってまい進します。巨人軍入団から18年間、選手・高橋由伸を応援してくださったファンの皆様には心から感謝いたします。

 26日に就任会見を行う。まずはコメントで所信を表明した。

 電光石火、潔い受諾だった。そのスピード感に、高橋由の覚悟がギッシリと詰まっていた。原監督が退任会見を行った翌日、初めて球団から打診を受けた。今季も代打の打率3割9分5厘をマークするなどバットはさびず、逆に研ぎ澄まされていた。現役続行への強い意欲を隠さなかったが、初交渉の席上で「引き受けるなら兼任はない」と即答した。

 慎重な男。監督業の厳しさは、長嶋茂雄、原辰徳らに仕えて身に染みている。迷う時間が生じても不思議はない。生え抜きの責任感が個を上回った。盟主にとって、監督空位の時間が続いていいはずがない。チームは過渡期にある上、野球賭博問題で大きく揺れている。12年間ともに戦った原監督が携えていた「どんなときでも、個よりもチームが優先される」の哲学を、しっかりと受け継いだ。

 信頼のおけるスタッフで固める。40歳、青年監督を旗頭に、巨人軍の新たな伝統を築く。

 ◆高橋由伸(たかはし・よしのぶ)1975年(昭50)4月3日、千葉市生まれ。桐蔭学園では1年からレギュラー。慶大では東京6大学リーグ新記録の通算23本塁打を放った。97年ドラフトで巨人を逆指名して1位入団。新人王は川上(中日)に奪われたが、1年目の98年に打率3割、新人初の満塁本塁打2本、勝利打点13度を記録。打率3割を7度マークしている。03年の11打数連続安打、07年の先頭打者本塁打シーズン9本はプロ野球記録。今季は打撃コーチを兼任した。04年アテネ五輪出場。ベストナイン2度、ゴールデングラブ賞7度。180センチ、87キロ、右投げ左打ち。今季年俸1億5000万円(推定)。

 ▼高橋由が巨人監督に就任。来季満41歳を迎えるシーズンでの就任は、75年長嶋の39歳に次ぎ、50年水原、61年川上と並ぶ。巨人で現役引退直後に監督就任は前記長嶋以来。選手時代に外野手専任の監督は、中島に次いで巨人で2人目(原は89~92年に外野手登録)。巨人で慶大出身は三宅、水原、藤田に次いで4人目。早大出身と並んで最多タイとなった。