仙台大(仙台6大学2位)の152キロ右腕熊原健人(4年=柴田)が、3安打完封でチームを準決勝に導いた。DeNAから2位指名を受けたエースは、ドラフト会議後、初めての実戦で実力を発揮。ノースアジア大(北東北2位)を退けた。西武6位指名の東北学院大(仙台6大学3位)右腕本田圭佑(4年=東北学院)は、先発した初戦で姿を消した。

 プロの世界に飛び込む熊原の真価だ。課題とされる初回を「無心で(キャッチャー)ミットに投げた」と、3者凡退に抑えて波に乗った。最速は146キロを計測し、チェンジアップを効果的に使って3安打11奪三振。9回に2四球を与えて反省点を残したが、三塁を踏ませなかった。

 22日のドラフトから2日後。今秋のリーグ戦は、プロ入りへの期待と不安を抱えながらマウンドに立った。無事に指名され「自分としては気が楽になった」と明かした。重圧が減り、仙台大を初めて秋の神宮に導くことだけに集中できた。

 指名打者制を適用しない明治神宮大会にならい、今大会は投手が打席に立つ。熊原も昨年の大会以来、約1年ぶりに左打席に入った。大学初安打は「打てないものですね」と笑ったが、9回の第4打席では犠打を成功。DeNAのセ・リーグでは、そのバントなどが重要になる。

 もっとも「投手なのでスコアボードにゼロを並べられるか」と投球には強い意志を持つ。森本吉謙監督(41)は「頭から投げさせようかな」と、今日25日の富士大(北東北1位)との準決勝での先発をほのめかした。一発勝負のトーナメント。仙台大の命運は熊原にかかっている。【久野朗】