金本新体制に「Gの知恵」注入!! 阪神香田勲男2軍投手コーチ(50)が、来季の1軍投手コーチのチーフ格への昇格が決定的であることが25日、分かった。近鉄、巨人、韓国・斗山で長く投手コーチを務めた経験豊富な手腕に、高齢化する投手陣の整備を託す。巨人でプレーし、コーチを務めた指導者が阪神の1軍チーフ格投手コーチを務めるのは珍しいケース。常勝哲学を虎投に伝える。また、久保康生2軍投手チーフコーチ(57)の留任が決定的になった。

 阪神金本知憲新監督(47)を支えるコーチ陣編成の注目人事が決着した。チームの生命線である1軍投手陣のチーフ格に就くのは、香田2軍投手コーチだ。今季から新加入し、若手投手の育成に心血を注いでいた。これまで空位になっていたポストだが、同コーチの経験豊富な指導実績、そして親身に寄り添うスタンスが高評価され、白羽の矢が立った。

 阪神の長い歴史をひもといても、1軍投手コーチのチーフ格に巨人OBが就くのは異例。球団創設81年目の来季は「革新」も大きなテーマだ。金本監督は「勝ちながら再建する」方針を打ち出しており、巨人で1軍投手コーチを務めてリーグ優勝や日本一に導いた同コーチの昇格は、適材適所だろう。先発ローテーションの編成、継投などチーフ格投手コーチは重責だ。そのなかで常勝巨人のノウハウを注入していく。

 多くの若手選手が「熱心に教えていただける」と感謝するほど、情熱的な姿勢は、金本新監督が求めるコーチ像にも合致する。現役時代は右投げの本格派で鳴らしたが、左腕の強化にも定評がある。巨人では新人時代の内海や育成選手だった山口を育て上げた。今年もルーキー横山や岩貞ら左腕を中心に担当した。36歳の能見、31歳の岩田がサウスポーの先発要員だが、後続がいない。「左腕台頭」はチームの急務でもあり、その手腕に期待がかかる。

 また、2軍投手部門のチーフは久保コーチが留任する方向で決まった。来季、プロ39年目の大ベテランに若手の底上げを託す。1、2軍ともに投手コーチは2人制。今後はブルペン担当コーチの選定を検討していく。すでに高代ヘッドコーチや平田チーフ兼守備走塁コーチが決まり、掛布2軍監督の就任も決定的。金本新体制の全容が少しずつ見えてきた。百戦錬磨の指導者たちが、1年目の指揮官を全力でサポートする。

 ◆香田勲男(こうだ・いさお)1965年(昭40)5月29日生まれ、長崎県出身。佐世保工から83年ドラフト2位で巨人入団。95年に近鉄へ移籍、01年まで実働16年で350試合、67勝54敗11セーブ、防御率3・82。近鉄、巨人、韓国・斗山でコーチを務め、15年は阪神2軍投手コーチ。180センチ、80キロ、右投げ左打ち。

 ▼阪神の投手コーチで、それ以前に巨人で指導歴があったのは近年では八木沢荘六コーチがいる。99~01年野村監督時代に投手コーチを務めており、97、98年は巨人の2軍投手コーチだった。