鉄人の口説き文句でサプライズ入閣!! 阪神の2軍投手コーチに就任した広島OBの高橋建氏(46)が7日、兵庫・西宮市内の球団事務所で入団会見に臨んだ。現役時代、広島で心酔していた先輩からの誘いに、魂を揺さぶられた。

 10月29日、携帯電話が鳴った。金本新監督だった。「チームは広島ではないけど、阪神だけど、アメリカに渡るより楽だろ。2軍コーチだけど一緒に頑張らないか」。予想外のコーチ就任要請に驚き、意気に感じた。「投げているときに守ってくれていた金本さんが僕は一番好きだった。僕にとって特別な存在。どこかでカープのユニホームを着たいのがあったので金本さんの存在がなかったら、お断りさせていただいた可能性が高い」と明かす。

 唯一の左腕投手コーチとして、伸び悩む左投手の強化を託される。広島で先発の軸として活躍した。「左は器用貧乏になってしまう。先発をしたり、中継ぎをしたり、敗戦処理をしたり…。1つのポジションを勝ち取る気持ちは、左投手は右投手以上に必要」。走者を目でくぎ付けにする、けん制など左腕独特の心理面や技術面のアプローチも行う。

 野球への探求心は誰よりも強い。40歳シーズンの09年に米大リーグ挑戦。メッツで28試合に登板した経験は貴重だ。「日本は投げ込みが伝統的にある。米国は投げ込みをNGにしている部分もある。そのバランスですね」。投手王国・広島で育ったDNAなど、新鮮な風を虎に吹かせる。【酒井俊作】