点は簡単に与えない! 明治神宮野球大会が13日、神宮球場で開幕する。大学の部に4年ぶり25度目出場の東北福祉大(東北3連盟)は、右腕城間竜兵(3年=八戸学院光星)が好調だ。この秋は抑え、中継ぎを任されて11試合に登板。18回2/3を投げて防御率0・00と安定感は群を抜く。13日の1回戦は巨人1位指名の桜井俊貴投手(4年)がエースの立命大(関西5連盟第2代表)と対戦する。

 あの思い出の神宮のマウンドに再び立つ。青森・光星学院(現八戸学院光星)2年秋に、城間は高校の部で優勝した。「神宮はやりやすい。楽しみながらやりたい」。仙台6大学リーグ現役最多の18勝、この秋初めて中継ぎ登板した富士大(北東北)との明治神宮大会東北地区代表決定戦決勝では、自己最速147キロをマークした。進化を続ける右腕に気負いはない。

 東北福祉大1年春から主に先発。今秋から指揮を執る大塚光二監督(48)は、中日からドラフト2位指名された佐藤優(4年=古川学園)をリーグ戦1回戦の先発に固定した。2回戦以降は豊富な投手陣に経験を積ませるため、城間は抑え役になった。「最初に言われた時は『エッ?』と思った。でも来年、先発をもらった時にプラスになるんじゃないかなと」。気持ちの切り替えは早かった。

 背番号4の二塁手兼任が代名詞になった高校時代に、何度も2番手以降でマウンドに立った。「それが生きた」と言う。この秋の多くが接戦、走者を背負って登板した。その中で防御率0・00を残した。「試合の途中から集中力の入れ方を変えた」と5回以降から士気を高めた。制球の良さなど、投球術に加えて精神力の強さを見せつけた。

 大塚監督は「投手陣の中で一番しっかりやってくれた。MVPをあげたいぐらい」と、最大級の評価をする。13年春の全日本大学選手権準々決勝(対日体大)で、1年生だった城間は、先発して1点リードを守れずに途中降板した苦い経験も神宮にはある。この秋の東北福祉大は13試合すべてが継投策。登板は間違いない。喜びも悔しさも知る舞台で、フル回転する。【久野朗】

 ◆城間竜兵(じょうま・りゅうへい)1994年(平6)10月1日、大阪市平野区生まれ。長吉出戸小2年の時、北出戸モンスターズでソフトボールを始め内野手。長吉西中ではボーイズリーグの加美ウイングスに所属し投手。八戸学院光星では1年秋からベンチ入り。2年夏から甲子園3季連続準優勝。3年時は背番号4で史上初の春夏完封勝利を達成。東北福祉大では1年春から登板してリーグ通算18勝2敗。172センチ、70キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、姉。