目指すは虎の里中ちゃん! 阪神ドラフト5位の帝京大・青柳晃洋投手(21)が17日、東京都内のホテルで入団交渉を行い、契約金4000万円、年俸720万円で仮契約した(金額は推定)。身長181センチの長身サブマリンは、野球漫画「ドカベン」に登場する小さな巨人ばりの活躍を誓った。

 「神奈川県の大和スタジアムにドカベンの銅像があるんですけど、高校時代は里中の銅像の横でまねさせられたりしました」

 モノマネの対象は下手投げのエース里中智だ。川崎工科時代、大和スタジアムで試合がある度に、チームメートが里中の銅像を見て「青柳だ」と冷やかしていたという。里中の代名詞ともいえる右打者の足もとに落ちる「サトルボール」も「遊びではやったことはあるんですけど、出来なかったんです」とチャンレジしたことがあった。代わりにツーシームを習得し「右打者に対するボールは自信があります」。下手投げ気味のサイドスロー。右打者のふところをえぐる投球スタイルは本家さながらだ。

 漫画の世界ではあるが、里中はドラフト3位でプロ入り。そこから完全試合を2度達成する大投手に成長した。青柳も同じ成長曲線を夢見る。

 「漫画の世界ですけどすごい活躍をしている。あれぐらいの活躍を自分もしたいですね」

 その目つきはいたって真面目だ。明訓高校で甲子園を舞台に大暴れした里中魂を胸に、タテジマのユニホームに袖を通す。【梶本長之】

 ◆里中智(さとなか・さとる)水島新司作の野球漫画「ドカベン」に登場する下手投げの投手。身長168センチと小柄ながら多彩な変化球と決め球のサトルボールを武器に相手を手玉に取る。明訓高校(神奈川)では主人公である山田太郎とのバッテリーで春夏合わせて5度甲子園に出場し、4度の全国制覇。プロ野球編ではロッテに入団。新球スカイフォークを開発し活躍。ドリームトーナメント編では「東京スーパースターズ」という架空のチームに所属している。

<青柳晃洋(あおやぎ・こうよう)アラカルト>

 ◆生まれ 1993年(平5)12月11日、神奈川県。

 ◆球歴 小5から寺尾ドルフィンズに所属。上手投げがあまりにも下手すぎアンダーハンドに変更。生麦中では3番手投手。川崎工科では甲子園出場なし。帝京大3年時に右肘を手術したが同4年秋に6勝を挙げた。

 ◆憧れの投手 元阪神の小林繁。同じ下手投げの投手として映像で何度も右打者への投球を勉強。

 ◆家族 母、兄と3人暮らし。兵庫に住む祖母が熱狂的な阪神ファン。祖母の家には03年優勝記念Tシャツなど数知れず。母も阪神ファン。自身はヤクルトファンだった。

 ◆走り方 走り方がおかしいことを気にしている。50メートルは6秒8。

 ◆サイズ 181センチ、79キロ。大学で15キロも体重が増えた。右投げ右打ち。