目指すは小さな大投手! 西武ドラフト3位の西濃運輸・野田昇吾投手(22)が19日、岐阜・大垣市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金6000万円、年俸1200万円(金額は推定)で合意。小兵左腕は「小柄でも真っすぐで押せるのが武器。1日も早く1軍に」と高らかに言った。

 身長167センチ。日本ハム谷元、ヤクルト石川と並び、現役でもっとも小柄なプロ投手となる。西武では02年の橋本武広以来、14年ぶりの160センチ台投手だ。「昔から大きい選手には負けたくなくて、誰よりも走りました」。どっしりとした下半身から、強気に最速147キロの直球を放る。球団は貴重な中継ぎ左腕として期待をかける。

 手本は鹿児島実の先輩、巨人杉内だ。「同じ小柄な左で、制球が良くて勝てる投手。目標として目指しています」。高校時代、1度グラウンドで会ったことがある。大きく見えた通算142勝左腕の背中を追い続け、ゆっくり足を上げる投球動作などフォームを研究。ついに同じプロの土俵に上がった。

 西武には西濃運輸で1年ともにプレーした高橋朋がおり、環境面も申し分ない。背番号は23に決定。サイン色紙には「即戦力」と書いた。「一番期待されている言葉だと思う。応える覚悟は常にしてきました。心配は、ないです」。小さな体から飛び出した、パワフルな決意表明が頼もしかった。【鎌田良美】

 ◆野田昇吾(のだ・しょうご)1993年(平5)6月27日、福岡県出身。鹿児島実のエースとして3年春のセンバツ8強。西濃運輸では1年目から日本選手権など公式戦出場。家族は両親と兄2人。167センチ、73キロ。左投げ左打ち。最速147キロで球種はスライダー、スプリット、ツーシーム。右利きを矯正した「右利きサウスポー」。

 ◆小兵投手 現役で身長160センチ台の投手は167センチの石川(ヤクルト)谷元(日本ハム)と168センチの大山(オリックス)と169センチの美馬(楽天)の4人。1リーグ時代や50年代は珍しくなく、167センチの長谷川良平(広島)は55年に30勝で最多勝を獲得するなど通算197勝。阪急時代の47、48年に連続20勝した今西錬太郎、52、53年に開幕投手を務めた野村武史(毎日)は168センチ。近鉄で通算68勝した167センチの沢藤光郎らがいる。最も身長の低かった投手は156センチの浜崎真二(阪急)。