日本ハム中田翔内野手(26)が、来季のさらなる飛躍のテーマに「侍魂継続」を掲げた。22日、札幌ドームで行われた「ファンフェスティバル2015」に参加。前日21日まで戦った国際大会「プレミア12」では3本塁打15打点の活躍で初代打点王とワールド・チームプレーヤーズ(ベストナイン)に輝いた。ファンからのねぎらいの言葉に笑顔を見せた主砲は「神懸かっていた」と表現した大活躍をチームでも実践する。

 つかの間のリラックスタイムに、中田の顔は緩みっぱなしだった。「喜んでもらえたと思う。個人的にも楽しめた」。3万6380人が詰めかけたファンフェスティバル。前日21日まで侍ジャパンの一員として参加した、初開催の「プレミア12」で大活躍しただけに、ファンから「お疲れさま」「頑張ったね」など、ねぎらいの言葉が贈られた。「負けましたけど、ちょっと自分の中でホッとした」と、笑みがはじけた。

 舞台裏では、心を新たにする瞬間があった。栗山監督と、ひざを突き合わせての個人面談。「来季へ向けての話ですね」と、詳細は伏せたが、日の丸を背負って見せた大爆発を振り返りながら話し合ったという。

 8試合で打率4割2分9厘、3本塁打15打点。本人が大会終了後に「神懸かっていた」と振り返ったプレーぶりは、栗山監督が常に求める姿でもあった。指揮官からは「すごいことではなく、こういうのが普通だと思って。ジャパンの試合だから…ではなく、普段からこういうことはできる」と期待値が大きいからこその、高い要求を受けた。

 自ら求める理想の姿でもあった。定位置だった4番を外れても、チームの勝利のために打ちまくった。「そういう、チームを任される選手に、なりたいね」。チームの白星だけを目指し、全力を尽くして結果も残す。19日の準決勝韓国戦(東京ドーム)ではヘッドスライディングで二盗を成功させる気迫あふれるプレーも披露。この日も、ファンの前で話を振られると「もちろん」と、来季の公式戦でも積極果敢な走塁を見せることを宣言。激闘を終えたばかりでも、心には侍魂が宿り続けている。

 悔しさを胸に再出発する。3位に終わってチームへ再合流したが「(侍ジャパンのメンバーで)満足している人は、1人もいない」。プレッシャーから解放されても、目標を達成できなかった無念さが残る。痛恨の思いを、まずは来季にぶつける。「一丸となって優勝したい」。国際大会で証明した勝負強さをチームでも発揮して、覇権奪回の旗手となる。【木下大輔】

 ◆プレミア12準決勝・韓国戦(19日、東京ドーム) 中田は5回に四球で出塁すると、続く松田の2球目にスタート。完全にモーションを盗み捕手は二塁へ投げられなかったが、ヘッドスライディングでベースへ突っ込んだ。シーズンでは今季、6月19日ソフトバンク戦での1盗塁。