今春センバツ「21世紀枠」の推薦校にも選出された仙台一(宮城)が今日3日、県大会出場を懸けて仙台商と激突する。中部地区大会初戦は東北学院に4-12の7回コールドで大敗。続く仙台戦では3-2の逆転勝ちで2次予選へと駒を進めた。センバツ落選から気持ちを切り替えナインらは「自力での甲子園出場」を目指す。夏へとつなげるためにも、この大一番を乗り越え、県大会出場を決める。

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「夏の大会決勝だと思って戦え」。練習後のミーティングで千葉厚監督がナインらに呼びかけた。昨春、昨秋と東北大会出場を果たしているチームだが、今春は初戦で大敗を喫し、もう後がない状況。だが指揮官は「大きな失敗をしてこなかった中で、チームの足りないところが全て出て地区初戦で負けた。苦しい時に勝ち上がる力をつけてほしい」と期待を込めた。

自力で聖地の切符をつかみ取る。結果が全ての夏の大会とは違い、選考委員会により出場が決定するセンバツ大会。ナインらは夢の甲子園出場に期待を膨らませていたが、あと1歩届かなかった。小川郁夢(いくむ)主将(3年)は落選の瞬間、落ち込むナインらとは違う思いを抱えていた。「自分たちの力ではないのに期待していた自分に腹が立った。『夏は絶対に自分たちの力で行くんだ』という気持ちになった」と落選の瞬間から夏への闘志に火が付いた。

ミーティングで指揮官は「この落選を生かさなければ夏も甲子園に行けない。今は自分たちの価値や真価が問われている」と伝え、「ここまで支援してくれた人のためにも絶対に行かなくてはいけない」とナインらを鼓舞。その言葉を受け取ったナインらは翌日には気持ちを切り替え、「自力での甲子園出場」に向けて再出発した。

ベンチ内のホワイトボードには「夏 甲子園」と大きく描かれている。最高のエンディングを描くためにも、まずは正念場を乗り越えなくてはならない。負けたら終わりの夏同様、県大会出場に向けてもう後がないチーム。小川は「ただの公式戦と思わず、夏の大会と同じ気持ちで臨みたい」と意気込んだ。自力での甲子園出場をつかみ取るためにも大きな壁に立ち向かう。【木村有優】

○…千葉監督は今季のキーマンに1年生から存在感を発揮し、経験豊富な小川主将と「どんな投手にもちゃんと合わせてくれるし、長打力もある」と藤原啓内野手(3年)を挙げた。今季の武器はチーム力だ。「3年生は自立していて主将がたくさんいるようだ」。キーマン2人を筆頭にチーム一丸、束になって頂点を目指す。