中日ドラフト1位の東海大相模・小笠原慎之介投手(18)が23日、横浜市内のホテルで仮契約を結んだ。契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円。高卒選手では球団初の最高条件での契約になった。最速152キロを誇る今夏の甲子園V左腕は尊敬する侍ジャパン小久保監督のもと、17年のWBC日本代表入りを目標に掲げた。

 黄金ルーキーは契約も夢もビッグだった。上限の申し合わせができて以降、プロ球界高卒ルーキー11人目の最高条件契約。竜のドラ1は、まだあどけなさが残る表情をほころばせた。

 「プロになるという実感が湧いてきて、やってやろうという気持ちです。目標は新人王。開幕からベンチに入って、ドラゴンズを代表する投手になりたい」。クリスマスムード漂う高級ホテルの一室で行われた会見で、やや緊張しながらもよどみなく話した。

 ともに3球団競合だった堂上、高橋周や平田、浜田達らも上回るMAX契約。中田スカウト部長は「我々から見てNO・1。甲子園の優勝投手にふさわしい契約だと思う。持ってる力を出しさえすれば、まず間違いなく(来年)1軍のマウンドに立っている。力で圧倒するところを見てみたい」とぞっこんだ。

 夢もでっかい。17年WBCでの日本代表入りを夢ではなく、現実的な目標として掲げた。「誕生日が同じ(10月8日)で小久保さんの本を読んだりして、ファンになりました、一緒に戦いたいです。17年? はい。できるだけ早く選ばれたいと思っています」。

 選ばれるためには入団2年で結果を残すことが必要。1年目から勝負していくという高いハードルを自らに課した。プレミア12もテレビで欠かさず観戦した。「ファンとしても、自分がここに立ったらという目でも見た」と高い意識をのぞかせた。高卒2年目で侍ジャパンのブルペンの一角を任された楽天松井裕のような未来図を描く。

 現在は、自慢の速球に磨きをかけるため2~3時間の走り込みを徹底。自主練習の量は現役時よりも多いといい、顔も体も引き締まっている。「現役のときは全体練習だけで『もういいや』となっていた。1位指名され、自分が変わる大きなキッカケになった。1位に恥じないように。限界を見ずに上を目指したい」。夢と自覚をたずさえて、スケール感たっぷりに、プロの世界に飛び込む。【柏原誠】

<小笠原慎之介(おがさわら・しんのすけ)アラカルト>

 ◆生まれ 1997年(平9)10月8日、神奈川・藤沢市。

 ◆球歴・代表歴 小1から善行スポーツ少年団で野球を始め、善行中では「湘南ボーイズ」に所属。3年夏にジャイアンツカップ優勝。U-15アジアチャレンジカップの日本代表で優勝。東海大相模では1年春からベンチ入り。今夏の甲子園はエースで全国制覇。U-18W杯日本代表選出。

 ◆聖地 「気持ちも投球も成長させてくれる場所。戻ったらもう1ランク上がれる気がする」とプロでも甲子園のマウンドで投げることを楽しみにする。

 ◆慎之介 名付け親は4年前に他界した曽祖父で、「しょうたろう」と「しんのすけ」の2択から決定したという。現在の愛称はオガ、慎之介など。

 ◆名古屋 初めて。寮生活は高校で経験。会見で名古屋の印象を聞かれ「…みそ」と笑いをとった。

 ◆サイズなど 180センチ、83キロ。50メートル走6秒8、遠投110メートル。左投げ左打ち。

 ◆家族 両親と弟、妹。