西武秋山翔吾外野手(27)が再び先人たちに肩を並べた。24日、12球団唯一の満票でベストナインに選出された。外野手としては02年の巨人松井、パ・リーグの外野手では97年のオリックス・イチロー以来となる満票選出。シーズン最多安打を216本に塗り替えたヒットメーカーに満場一致のタイトルが加わった。

 秋山は満票選出というプレミアに少し驚いた。トリプルスリーの柳田、山田も全票は集まらなかった。「とにかく光栄です。目の肥えた記者の方たちに評価していただいた」。ベストナインはトータルの成績が求められる。走攻守で数字を残した。それでも「ヒット数の印象が一番じゃないですか? 積み重ねてきたものは柳田みたいに派手じゃない。でも1つのことを誰にも負けないつもりでやってきた」と216本の金看板を支持理由と捉えた。

 だが来季、プロ野球初の2年連続200安打を意識することはないという。「率よりはヒット。でも200本は簡単じゃないし、来年は来年です」。ヒットマンとして200本という“チョモランマ”を踏破することより、登山方法を追求する。「来年は1打席の球数を1球、増やしたい。今年は後ろの打者に背負わせてしまった部分がある」。1番打者だが早仕掛けで結果を残したと自認している。1打席に要した平均球数は4・06と14年の4・14と大きな変化はない。平均5球という理想に近づけば、周囲への貢献が高まると考えている。

 地元に基盤を置き、来季に備える。自主トレは昨季同様、西武第2球場で行う。侍ジャパンでプレミア12を戦う中、小久保監督に声を掛けられたという。「そろそろ自主トレに若手を連れて行く時期じゃないか?」。球界では主力が若手を引き連れ、費用もサポートする流れがある。ベースキャンプを張り、リーダーへの道も歩んでほしいという指揮官の思い。秋山も納得して受け止めたが「未知のところに踏み出したいけど、今回は準備への時間がない」と来年以降のプランとして温めた。浅村らからも誘いを受けて感謝しながらも、オフの多忙ぶりも踏まえて原点の地を選んだ。

 「1本ずつです」。最高峰への登頂アタックを1歩ずつ歩んでいく。【広重竜太郎】

 ◆ベストナインの満票 満票は13年田中(楽天=投手)以来で、野手では03年ダイエーの城島(捕手)井口(二塁手)以来12年ぶり。外野手では00、02年松井(巨人)以来で、パ・リーグの外野手では95~97年イチロー(オリックス)以来18年ぶり。イチローは98、99年に1票差で満票を逃している。近年の外野手では99、01年ローズ(近鉄)01年松井、06年福留(中日)が1票差を経験している。